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ウエイトライスを贈る
ウエイトライスを贈る新郎新婦の涙と、それを受け取る彼等の両親の涙。それを見守る友人たちの涙。それらに釣られて、私も暗闇に紛れ涙を拭っている。
新郎新婦の出生時の体重と同じ重さのお米に赤ん坊だった頃の写真やメッセージを添えて両親に贈る。それがウエイトライスです、と司会が説明してくれる。
初めて我が子を抱き上げた記憶と、近くから遠くからその成長を見守ってきた月日と、彼と彼女が旅立っていく寂しさと。
早めに仕事を切り上げて
早めに仕事を切り上げて、カイシャ帰りに商店街を歩いている。保育園帰りの子どもたちがパパやママとお買い物をしている横を、駅に向かって歩いている。
脈略もなく、「お手伝い券」のことを思い出した。それは、私が彼等くらいの年齢の頃、クレヨンで手作りして母親の誕生日にプレゼントした券だった。
彼女は、それをそろりと引き出しにしまい、けれどそれを使わない間に彼女は、老いてしまった。私の方も、債務を履行せず