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明日は本当の話をしよう

「ただいま〜」

「おーおかえり。早かったな」

「だって話があるとか言うから。急いで帰ってきたんだよ」

「あぁ…急にごめん」

「で?何?話って…」

「いやあの…まぁ、とりあえずここ座って?…あのさ、最近ずっと考えてたんだけど…」

「うん」

「俺たちそろそろもう付き合って2年くらい経つだろ?」

「2年くらいっていうかちょうど明日で2年だよ。ふふ、忘れてた?」

「あぁいや、うん。覚えてるよ。でさ…」

「なになに?」

「俺たちもうそろそろ…」

「うん」

「別れないか?」

「えっ……?」



「はい、嘘〜!!」

「...嫌!!!」

「ははは落ち着けって嘘だよ」

「だから嫌だって!なんで嘘なのよ!」

「え…えっ?!」

「私ももうそろそろ潮時かなって思ってたの、だから嘘じゃなくて別れよ?」

「いやいやいやちょっと待ってよ。さっきので怒ったの?」

「別に怒ってないよ、私も考えてた」

「いや嘘だろ?俺エイプリルフールだから驚かせようと思って…」

「うん…」

「うんって、そんな…」

「だから私もここ最近ずっと考えてた。どんな嘘ついてくるかなぁって。それを越えるびっくりするやつ、絶対被せてやろうって」

「......え?」

「へへーん。まだまだ私の方が演技力高いね。今年も私の勝ち〜!」

「お〜い〜!!なんだよ焦ったわぁ…。この後のくだり、完全に計画崩れたじゃん」

「なにこの後のくだりって?」

「いや嘘って言った後、これ、渡そうと思ってて...」

彼はバツが悪そうにそう言うと、小さな箱をポケットから出した。

「ねぇそのくだり、明日にしない?記念日は同じ日の方が覚えやすいでしょ?それに今日だと嘘になっちゃいそう(笑)」

「嘘じゃないよ。これからもずっと、エイプリルフールもいろんな記念日も、2人で一緒にこうやって笑ってたいんだ」

「だから...明日にしようってば」

私はそう言いながらリングケースを持った彼の手をぎゅっと握った。

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