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クリスマスの落としもの

別に誰もいないわけじゃない。
むしろ暇だって言えばいくらでも声はかかるはず。いつもならね。
でも、クリスマスに暇だなんて、言いたくないじゃない。

あぁ、一体誰が始めて広めたんだろう。クリスマスは恋人と過ごすなんて風習。そんなのがなければ、クリスチャンでもないわたしは何気ないいつもの週末として今日を過ごしていたはずなのに。
恋人が欲しいと普段から切望しているわけでもないのに、妙に寂しく感じさせられる年の瀬。

予定がないのをいいことに遅くまでパソコンと睨めっこ。年末までにやるべきことは山ほどある。
好きで就いた広告の仕事だけど、この世界は華やかなように見えてやっていることは案外地味だ。
そしてその割に目が回るくらい忙しくて、次々と季節や流行りを先取りしてとにかくひたすらに作っては、あっという間に消費されていく。
世間はクリスマス一色だっていうのに、今わたしがやっているのはすでにバレンタインの案件で、わたしの中ではクリスマスなんてとっくに過ぎ去ったような気分だった。

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