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2019年12月の記事一覧

[小説]ギフト ~出会い~

[小説]ギフト ~出会い~

 あいつを見かけたのは中学の入学式。母親に制服の裾を直され、髪の毛を手ぐしで直されていた。あいつはそれを当たり前のように受け入れていて、なんなら少しうざそうにしていた。

 ムカつく。

 あいつの第一印象。

 そんなムカついたやつとクラスが一緒だと気づいたのは教室に入った時。あいつは一番前の席に座るやつの前に立ち、他数人と談笑していた。なんだかその笑った顔さえもムカついた。

 そうか、おれは

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[小説]ギフト~上から3番目のあいつ~

[小説]ギフト~上から3番目のあいつ~

 なんか鼻につくあいつはどうやら6人キョウダイの上から3番目らしい。一番上は姉で高校2年生。二番目は兄でこの中学の3年生だそうだ。他の同級生の真新しいカバンと違い、薄く、カバンの下の角は茶色い部分が見えていた。制服も少しくたびれていて、おしりや膝の部分が少しテカっている。あいつはお下がりなんだと文句を言っていた。でもそのつぶれたカバンも少しくたびれた制服も、真新しい物を纏った同級生には「なんかかっ

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[小説]ギフト〜サッカー部〜

[小説]ギフト〜サッカー部〜

 この中学に帰宅部はない。みんな何かしらの部に属さなければいけない。入学してしばらくすると仮入部の申請ができる。おれは小学校の頃からサッカーをやっていたから、サッカー部に入ろうと思っていた。

 仮入部の申請を出しにいざサッカー部のグラウンドに行くと、あいつがいた。内心、チッと思いながらもどうやら仮入部の人数は30人を超えてる。あいつと関わることはそうないだろうと思った。

「ゆーうと!!」

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