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ギフト

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記事一覧

[小説]ギフト〜知りたい〜

[小説]ギフト〜知りたい〜

 響子はスマホをスーツのポケットに入れ、まずはキッチンに向かった。引き出しから袋を取り出し、製氷室から氷を掻き出し、袋に入れる。2〜3回分氷を入れて、今度はシンクへ。蛇口を上げ水を出し、氷が浸かるぐらい水を入れた。袋の口は輪ゴムできつく縛った。次に冷凍庫から保冷剤を2個出し、氷嚢とともに脱衣所へ向かう。脱衣所の棚から薄めのタオル3枚出し、一切合切を持ち階段を早足で上る。階段を上がって一番手前の部屋

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[小説]ギフト〜誰がどうして〜

[小説]ギフト〜誰がどうして〜

 ある日、うちの次男坊が派手に殴られて帰ってきた。私は激しく動揺した。

「どうしたのそれ!」

と言うが早いか、陽太の顔を両手で包み、何があったのか聞いた。だが、本人はこちらの動揺など意にも介さず、「何でもないよ」とそれ以外答えない。何でもない訳ないじゃない、と食い下がるも、陽太は自分の部屋に戻ってしまった。時計を見ると午後4時半。まだ学校に誰かいるかもしれない、と電話をかけた。

 電話に出た

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[小説]ギフト〜落ち着かない心〜

[小説]ギフト〜落ち着かない心〜

 誰がいつの間に呼びに行ったのか、顧問の先生がやって来た。部室の扉は開いていた。床に丸まったままのあいつと祥太に両腕を掴まれながら荒く息をしているおれを見て、まずあいつの状態を確認した。

「ちょっと見せてみろ」

丸まったあいつの隣で片膝をつき、右手であいつの左腕をそっとどかす。あいつは泣いていた。痛みからか、悔しさからか、驚きからか。

「誰か保健室連れてってやって。確か今日先生いるはずだから

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[小説]ギフト〜怒り〜

[小説]ギフト〜怒り〜

 帰り道、校門のところで豊中に会った。

「お前どうしたのそれ」

両手に500mlのペットボトルが大量に入ったビニール袋を持ち、汗だくで坂下のコンビニから戻って来たところのようだった。一瞬、豊中の表情が強張ったように見えた。

「あぁ、もうすぐ練習終わるから、みんなの分の飲み物買い出しに行ったんだ」

豊中は笑顔で、少し両手の荷物を持ち上げて言った。

「うげ、バスケ部全員分?しんどいなそれ」

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[小説]ギフト~練習~

[小説]ギフト~練習~

 練習が始まる。ランニング、筋トレ、基本練習、ドリブル、パス回し、その後は顧問の先生の指示で変わる。1対1だったり3対2だったり、ミニゲームだったりセットプレーだったり。でも1年はパス回しまでやると、大きめの休憩を挟んでまたランニング、筋トレ、基本練習だ。どうやらうちの顧問はテクニックより体づくりに重きを置いているらしい。まぁ成長期だしな、と思いながらもやっぱりおれはゲームがしたかった。

 一通

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ギフト~坂道~

ギフト~坂道~

 あっという間に夏休みになった。といっても毎日のように部活があるから、あまり休みという感じはしない。おれは学校までのこの坂道が嫌いだ。春はまだ良かった。桜並木で、きれいだなと思った。でも少しでも暑くなってくると、もうしんどかった。校門までが遠く感じた。なんでバス停は校門前にないんだろうと何度も考えた。でも考えたところで仕方ない。部活があるから登らなきゃいけない。足取り重く坂を登り進んでいると、

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[小説]ギフト ~草むしり終了~

[小説]ギフト ~草むしり終了~

 結局しゃべりながらやるもんだから草むしりは一向に進まなかった。終わったら解散の掃除。今日は部活もないし、おれは早く帰りたかった。早く家に帰ってエアコンの効いた部屋でゆっくりマンガでも読みたいのだ。

 八代先生が確認に来た。

「え~まだ終わってなかったの?!もうみんな終わって帰ってってるよ~。おしゃべりばっかりしてたんでしょ~?終わらないと帰れないからね!ほら!みんな頑張れ!」

おれはがん

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[小説]ギフト ~豊中~

[小説]ギフト ~豊中~

 みんなの視線がおれに集まっているのがわかる。おれは草をむしり続けていた。

「橘~?お前に聞いてんだけど。無視しないで~」

豊中は首を伸ばし、おれの方を向いておどけた感じで改めて聞いてきた。

「・・・兄貴がいる」

おれは草をむしりながら、ぼそっと答えた。

「へぇ~!お前も兄貴いるんだ?ひとり?いくつなんだよ兄貴は」

豊中はおれの横に場所を移動してさらに質問してくる。めんどくせぇと思いな

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[小説]ギフト~渡辺陽太~

[小説]ギフト~渡辺陽太~

 あいつと同じ掃除場所になるなんて・・・、と一瞬落ち込んだものの、さっさと終わらせて帰ればいいだけだと気持ちを切り替える。メンバーはおれとあいつと他に男子2人、女子2人だった。場所は中庭。暑い中で外の掃除はさらに気分を憂鬱にさせる。

「具体的に何やればいいんだ?中庭の掃除って」

みんなで移動する中、豊中が両手を頭の後ろに組んで伸びをしながら言う。

「とりあえず掃いときゃいいんじゃないの?」

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[小説]ギフト ~出会い~

[小説]ギフト ~出会い~

 あいつを見かけたのは中学の入学式。母親に制服の裾を直され、髪の毛を手ぐしで直されていた。あいつはそれを当たり前のように受け入れていて、なんなら少しうざそうにしていた。

 ムカつく。

 あいつの第一印象。

 そんなムカついたやつとクラスが一緒だと気づいたのは教室に入った時。あいつは一番前の席に座るやつの前に立ち、他数人と談笑していた。なんだかその笑った顔さえもムカついた。

 そうか、おれは

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[小説]ギフト~上から3番目のあいつ~

[小説]ギフト~上から3番目のあいつ~

 なんか鼻につくあいつはどうやら6人キョウダイの上から3番目らしい。一番上は姉で高校2年生。二番目は兄でこの中学の3年生だそうだ。他の同級生の真新しいカバンと違い、薄く、カバンの下の角は茶色い部分が見えていた。制服も少しくたびれていて、おしりや膝の部分が少しテカっている。あいつはお下がりなんだと文句を言っていた。でもそのつぶれたカバンも少しくたびれた制服も、真新しい物を纏った同級生には「なんかかっ

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[小説]ギフト〜サッカー部〜

[小説]ギフト〜サッカー部〜

 この中学に帰宅部はない。みんな何かしらの部に属さなければいけない。入学してしばらくすると仮入部の申請ができる。おれは小学校の頃からサッカーをやっていたから、サッカー部に入ろうと思っていた。

 仮入部の申請を出しにいざサッカー部のグラウンドに行くと、あいつがいた。内心、チッと思いながらもどうやら仮入部の人数は30人を超えてる。あいつと関わることはそうないだろうと思った。

「ゆーうと!!」

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[小説]ギフト ~続くイライラ~

[小説]ギフト ~続くイライラ~

 気がつけばあっという間に毎日は過ぎ、6月。もう梅雨を吹っ飛ばして夏が来たのかと思うぐらい暑い。ワイシャツの下の白Tを日に3回くらい着替えたいほどだ。
 同じクラスといえど、関わろうとしなければあいつとは何の接点もない。サッカー部でも特に組まされることもないから穏やかに過ぎている。ただ、やっぱり視界に入るだけでイラつく。なんであいつのことがこんなにイラついてしまうのかわからない。ただただイラつく。

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