見出し画像

梅 雨

写真と俳句 その四十と四十一

2023年6月9日

 関東甲信で梅雨入りしましたね。
 台風で被害に遭われた方々へお見舞いを申し上げます。
今後も、どうぞ、お気をつけください。

 さて、梅雨の季節、皆さんはどのようにお過ごしになるでしょうか。

 以前、FBにも書いたように記憶しているのですが、私は雨が降ると、お寺に行きたくなるという変な子どもでした。小学生の低学年からだったように思います。檀家であるそのお寺には、池があって、その池がみたくなるのです。一人で、坂を登って、そのお寺まで、よく行っていました。

 お寺というと、私の母の姉である伯母がお寺に嫁いでいて(この言い方も違和感がありますが)、庫裡で、私は子供の頃、夏になると、そこへお邪魔し、何日も滞在していました。そのせいか、お寺に対して親しみがあるのですね。襖を開けると、奥に続く部屋、部屋。今でもその空間の様子を、たまに思い出すことがあります。先日、従姉妹に尋ねたら、四部屋あったそうです。怖いし悪くて開いていない襖をあけることはできない。子どもにとっては、果てしなく思える程の空間でした。
 そのお寺の跡を私に取らないか、と住職、つまり伯父から両親に話があり、両親はお断りしたそうです。高校に入った時、その話を両親から聞き、皆で顔を見合わせて、「務まらんね。」と笑いました。


アメンボの写真です。4匹います。池の水面にアパートが写っています。
あめんぼ
水馬



紫色のガクアジサイの写真です。中央に花がたくさん咲いています。
ガクアジサイ



 紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 正岡子規

紫陽花だなぁ
昨日の誠が今日の嘘とでもいうように 色を変えていく
全く世の中というものはそういうものだ
殊に男女の仲はあてにならない

筆者解釈



ガクアジサイの写真です。薄い青と薄い黄色のハーモニー。
ガクアジサイ


前から五行目
竹冷文庫 連歌俳諧書集成(洒竹・竹冷・知十文庫)
国文学研究資料館「歴史的典籍NW事業」によるデジタル化
東京大学総合図書館
General Library, The University of Tokyo, JAPAN


 紫陽花や 帷子時の 薄浅黄 芭蕉

 あじさいや かたびらときの うすあさき

紫陽花だなぁ
夏の時期
単衣の麻の着物の
その淡い卵色や淡い青緑色のようだ

筆者解釈

薄浅黄とは

 薄浅葱(うすあさぎ)と同色という辞典もありますが、どうもはっきりしていないようです。

 芭蕉が、薄浅葱の淡い青緑色を指していたのか、薄浅黄をそのまま受ければ、淡い卵色をイメージしていたのかもしれません。帷子ということから麻本来の色もイメージできます。
 武家の正装には白か浅黄色の紋付帷子を用い、武家の女房や御殿女中は、藍の菊・もみじ・山水・まがきなどを染めた茶屋染めの帷子を着用していたそうです。

 淡い青緑色として捉えた方が、いかにも涼やかな着物を想像しますが、私は、上の写真の画像のような曖昧なアジサイの色、雨や土壌に影響を受け、移り変わる色をイメージし、含みを持たせていたように感じています。



白いガクアジサイの写真です。繊細な萼。
ガクアジサイ
隅田の花火


 紫陽花や 薮を小庭の 別座舗 芭蕉 

 あじさいや やぶをこにわの べつざしき

 元禄七年(1694年) 五月上旬

 自然のあるがままの小さな庭
それが観られる別座敷にて
発句を乞われた
紫陽花だなぁ

筆者解釈

https://opac.aichi-pu.ac.jp/kicho/kohaisyo/books/027_298_1/102717509/102717509_0003.html

  別座鋪
愛知県立大学図書館 貴重書コレクション


 *
 *
 *
 あじさいを 裏庭に挿し 手毬かな   広在
 あじさいの 雨に四ひらの 宇宙かな 広在
 *
 *
 *



 美しき黴や 月さしゐたりけり 加藤楸邨

何と美しいカビであろうか
月の光がさして輝き
そこに存在しているのだ

筆者解釈

加藤 楸邨 (かとう しゅうそん)
1905年(明治38年)5月26日〜1993年(平成5年)7月3日


 

栗の花の写真です。大きな栗の木のてっぺんに、太陽の光をいっぱいにあびていました。
栗の花


 世の人の 見付ぬ花や 軒の栗 芭蕉

世の中の人は 
気づかない花だなぁ
軒にある栗の木なのに

筆者解釈

 栗という字は、西の下に木と書くので、西方浄土に縁があると言われました。「法然上人行状絵図」には、栗は縁起がいいと法然が言われているそうで、杖や建具などに、栗の木を用いたようです。



どんぐりの写真です。小さなどんぐりと花が同時に付いています。
どんぐり




#梅雨
#水馬 #アメンボ #あめんぼ  
#紫陽花 #アジサイ #あじさい
#黴 #カビ
#栗の花 #クリ
#団栗 #ドングリ #どんぐり

#竹冷文庫
#連歌俳諧書集成
#国文学研究資料館
#東京大学総合図書館
#General Library, The University of Tokyo, JAPAN

#愛知県立大学図書館_貴重書コレクション

#薄浅黄 #薄浅葱



#強い雨にお気をつけください

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?