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【詩作品】謝肉祭〜絵画からのインスピレーション〜


想像の域を超えたシュールな光景の中に

キャスティングされていた

この構図を赦したのは自分だと気づかぬままに

       *


祈りの手はほどかれ、謝肉祭の晩餐が始まる

スルリと胸元に忍び込む蛇を合図に

両腕を縛られた生け贄は仰け反り

愉悦の表情を魅せる


       *


押し潰される乳房 赤く染まる肌 
開いていく瞳孔

「無に成れ」とサテュロスが耳元で囁く

脳幹が伝達するまま小刻みに揺さぶる振動は

凌辱の手を止めない


       *


重く垂れた雲の罅割れから

最後の淡い陽が滲む 

慄き寡黙になったヒヨドリは飛び立ち

やがて降りてきた闇に掻き消された


       *


懺悔の前に知っておくがいい 

予言者の言葉を信じてはいけない

告知は形だけの体裁に過ぎないから

此処には加害者も被害者もいない

抗えない時点ですでに共犯者なのだ


       *


俯瞰する魂は

眼下の惨状を痛々しく憐れんでいる

為すがまま弄ばれる我が肉を


       *


罠に嵌ったのかそれとも自ら堕ちたのか

答えを求めてラビリンスを彷徨い続ける

例え出口が見つかったとしても

おそらく光は射さないだろう            

       *

切り取られた心臓は今でも蠢き          

汚された血を流し続けている           

迷い込み封印された絵画の中へと






*参考 絵画「ルサルカ」コンスタンチン・マコフスキー


偶々目にしたロシアの画家コンスタンチン・マコフスキーの作品「ルサルカ」から、インスピレーションを受けて、想起した詩です。
一枚の絵画との出会いが、普段の自分の作風とは違うENERGYを与えてくれました。

御参考までに

コンスタンチン・マコフスキー

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