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「ブランディング」を図解すると「栗の絵」になった話

 先日1月23日(水)に「note creator meetup #6 」のトークセッション「ブランドの伝え方」に参加した。ゲストはMinimal代表の山下貴嗣さんと、F3Desing代表の田村浩二さん。

 フード業界で活躍されている注目のお二人が、ブランディングに対する考えを2時間に渡って語る贅沢なイベントだ。

 紹介文はご本人のnoteより

< Minimal代表の山下貴嗣さん >
脱サラしてコンサル業界から未経験でチョコレート業界へ。「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」代表。1年のうち4カ月程度は赤道直下に買付に。noteではリアルなブランド経営の学びをお届けします。Twitterは@taka_minimal


< F3Desing代表の田村浩二さん >
母の料理で育てられた味覚とシェフとしての経験を組み合わせて様々な食に関することを書いています。食の様々な可能性を未来へ拡げるお仕事をしています。天秤座のAB型。ミスターチーズケーキ。お仕事はこちらまで→lodoriter@gmail.com


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※左:田村さん、右:山下さん


 今回は、そこでの学びを私なりにお伝えしたいと思うが、結論から言うと、ブランディングとは、まるで栗の様であった。

 恐らく全く意味が分からないと思うので、まずは図から。

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 これを説明するにあたり、トークセッションの中で、核心に迫った印象的な部分を抜き出し、紐解いていきたいと思う。


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◆大切なのは「シンプル」であること

 今回、山下さんと田村さんがどちらも口を揃えて仰っていたこと。それは「よりシンプルに無駄を省く」ということ。

山下さん「Minimalは原材料をカカオ豆と砂糖に絞り、チョコレートを作っている。通常用いられるバターやミルクなどは入っていない。皆、何かを加えて味を足したがるが、それではカカオ豆本来の味わいや香りを届けられない。食べた人が”○○だから美味しかった”と一言でまとめられないと広がらない。(Minimalの場合はカカオの香りが口の中に広がって美味しかったなど)」

続けて、田村さんのサラダの話も面白い。

田村さん「最近のサラダはお客さんにカスタマイズさせて数十種類の味を楽しめることを売りにしている。ただ、そうではなく提供する側がベストと思うものだけを出すべきだ。より分かりやすくストレートに届けないと、レビューやリアクションが曇る。皆に同じものを食べてもらい、共通体験をさせることで反響がより大きくなり、拡散に繋がる。」

選択肢を増やさず、焦点を絞り、
1つのことをエッジかけて尖らせる。

それが、共通しているブランディングの真髄だ。

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◆「シンプル」は決して「単純」ではない。

 ただし、先ほどの「シンプル」という言葉を履き違えてはいけない。それは決して単純で簡単という意味ではない。あくまで、お客さんに伝わるように洗練されているという意味だ。商品には奥深さがあって良い、いや寧ろなければならない。同じ材料、同じ製法でもストーリーが無いと感動はない。
 ただ、この奥深い部分を全面に出していく訳ではない。なぜなら、世間は最初にそこを見ないからだ。できるだけシンプルに、分かりやすく、魅力を伝え、まず触れてもらう機会を作る。そして、興味を持ったお客さんがもっと知りたい思った時に初めて、その奥深さに関心を寄せる。そうやって惹き込んでいく。ビジュアルが先行し、一時的に人気を博したとしても中身が伴わないと続かない。そうやって消えていく商品はごまんとある。

”感覚的な美味しい”の裏側をつくる

田村さんの言葉はとても印象的だった。

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◆切り口を変えて発信する

 山下さんは、広宣費を使わず如何に多くのメディアに取り上げられるかについて話してくれた。例えばMinimalの場合、カカオの香りにこだわったチョコレートの企業というのはもちろん、フード業界のスタートアップ企業、日本独自のきめ細かさを世界に発信する企業、といった様々な切り口で語ることが出来る。メディアに合わせ、光の当て方を変えることで露出を増やす。それはトゲを増やし、刺さる範囲を広げていくイメージに近い。

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◆本来の要素を忘れない

 フードであれば“美味しい”、ファッションであれば“おしゃれ”のように、本来求められる要素をおろそかにしてはいけない。当たり前のことだが、これを満たさないモノが世の中には多すぎるという話になった。例えば、「フォトジェニックに焦点を当てた料理」。本来、味で勝負するはずの料理が、見た目を重視するあまり美味しさを失う。たとえ、それで注目される機会があったとしても、本来の機能を果たさないため、いずれ消えていく。田村さんは「料理の写真におしゃれな草を入れたがるのはどうか」と語った。「見た目で惹きつけるのではなく、寧ろ、食べないと良さが分からないものを作るべきだ」と。
 さらに私が感銘を受けたのは料理をデザインするという職人の考え方だ。料理を最大限に美味しく食べてもらおうと考えると、必然的に盛り付け方が決まるという話が興味深かった。日本人は皿に並べたものを左から食べる習性がある。それに合わせて、左から右へ徐々に味の濃いものを配置すると、食べていく中で変化があり、飽きずに楽しめるとのこと。デザインの本質に触れた気がして感動した。

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 以上、2時間のトークセッションを私なりに整理してみた。さらに、これを図示したのが最初の図だ。やや強引だが、お分かりいただけるだろうか。
「ブランディング」とは、まさに「鋭いトゲを張り巡らした中身が詰まった栗」の様だなと。

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 最後に、お二人に共通してると感じたのは、探求心が非常に強いということ。その探求心によって自然体かつストイックに道を切り開いている。今は、あくまでフードというツールを使って自己実現や問題解決をしているに過ぎない。今後、フード以外のジャンルでも活躍されるのは想像に難くない。

 話は変わるが、山下さんのご実家は栗山を持っていて、昔は栗をたくさん食べていたとか。おあとがよろしいようで。※正しい使い方ではない

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 2019年、初めての投稿はnoteのイベントでの気付き。今回は思い切ってレポート枠で参加したので、書いてみました。やっぱりある程度、強制力がないと、腰が重い。(※一応、年末以降もインスタかツイッターを毎日更新しています)
 とりあえず本当に楽しく、学びも多かった素晴らしいトークセッションでした!山下さん、田村さん、そして運営の方々、ありがとうございました!

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