「スキーマ療法⑧不信/虐待」を複雑性PTSD/ボーダーライン・パーソナリティー症の目線から説明してみた
18種類のスキーマの3つ目は、
「不信/虐待スキーマ」です。
このスキーマを獲得してしまった原因は、
⑦情緒的剥奪スキーマと同じです。
そして特徴として、絶えず他人を疑います。
この人は、私を操作しようとしているのでは?
それとも私を利用しようとしているのでは?
この人も自分を裏切るのでは?
相手は悪意をもって自分を傷つけようとしているのでは?
欲望の為なら他人を傷つけても構わないと、みんな思っている
人はみんな他人の不幸を喜ぶ
いずれも脳の誤作動です。
同じ物を食べても、美味しいと感じるか、
不味いと感じるかの違いと同じです。
このスキーマを持つ人は、他者との親密な関係を避けます。
⑴他人に本心を打ち明けたり、親密に付き合ったりしない
⑵裏切られる前に、自分から相手を裏切る
⑶被害者にも加害者にもなる
⑷誰かを虐待している人にすさまじい怒りをぶつける
⑸相手が信頼できるかどうか試したり情報収集する
これも、苦しいですよね。
人間は群れで生き残ってきた遺伝子を持っているので、
他人と親密になれないのは致命的なダメージとなります。
このタイプの治療目標は、
●「この世は信頼に値しない人がいるが、そこそこ信頼できる人もいる」
という事を認識できるようになる
●虐待する人といつまでも関わらない
●必要な時には、自分を守る為に闘う
●信用に値する人物を探し、親密な関係を形成する
治療目標を達成するには、
とにかく他者と出会い経験するしかありません。
経験値を上げて、信頼に値する人物のデータを取りにいく感じです。
DV夫とは別れるしかなく、その為に闘うしかありません。
このスキーマが修復されると、
信用できる人、できない人の区別ができるようになります。
そして信用できる人に対し
「その人が完璧である必要はない、ほどほど信用できるぐらいでよい」
と理解できるようになります。
確かに信用できない人間もいます。
信用できる相手からトラウマ的な出来事を受けたので、
経験が「不信」という信念を作ってしまっています。
しかしそれは、ただただ運が悪かっただけです。
不運が不運を呼んだだけです。
現在順調な人生を送れている人も、
たまたま良い環境に生まれたおかげで、
質の良いレール、質の良い車輪で走れたのです。
さらにスキーマが修復されると、
今までとは違う方法で他者と接することができます。
⑴過度に慎重になったり、他者を疑いすぎない
⑵試し行動をしない
⑶自分から他者を裏切らない
⑷他者に自分の弱いところをさらけ出すことができる
⑸証拠が不十分な状況では、できるだけ善意に解釈する
いずれにしても、今までの人間関係に当てはめてみたり、
新しい人間関係で、スキーマが活性化されていないか、
何回も見直す必要があると思います。
自分の試し行動に気づき、そしてやめる。
他者の言動に「もやもや」や「違和感」を感じたら、
なぜ、そう感じるのか?どのスキーマなのか?
探ってほしいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?