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応募作品

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コンテスト/企画に応募した作品をまとめています。
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無理しないで、元気でいてね #夜行バスに乗って

無理しないで、元気でいてね #夜行バスに乗って

豆島 圭さんの企画に20字小説(6話)で参加させていただきます。


最前列の席を買った。俺は、生まれ変わる。


出発。誰かの視線を感じる。気のせい、か?


間違いない。見られている。この中の誰か。


何か落ちる音。アレは……!アイツなのか?


なぜ俺を見る?見るな!アイツからやるか?


バスタ新宿。結局、俺は何者にもなれない。
#夜行バスに乗って #バスジャック未遂 #君

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20字小説⑩ #小牧幸助文学賞

20字小説⑩ #小牧幸助文学賞

20字小説、今日で終わりですね。
参加されたみなさんと同じ気持ちです。寂しい……。
小牧さん、楽しい時間をありがとうございました!

最後は3作品まとめて投稿します。
よろしくお願いいたします。
#1
これで何回目か忘れたけど死ぬの飽きたな。
#2
疲弊した僕を君が助けてくれた。この子も。
#3
何もなくていいの。優しい人に会えたから。
#小牧幸助文学賞

【短編小説】君と短歌とかき氷 #青ブラ文学部

【短編小説】君と短歌とかき氷 #青ブラ文学部

夕方、昼寝から起きると里美がいなくなっていた。
テーブルの上に書き置きがある。

こんなにも
あなたを思う
私など
あなたは知らぬ
会いに出て行く

短歌だ。
最近、ふたりの間で短歌が流行っていて、ふざけて作ったものを見せ合ったりしていたのだが、書き置きは初めてだ。しかも、内容がふざけていない。

少なくとも俺に対する歌ではないだろう。
俺は一緒に住んでいる家で昼寝していたのだから、会いに行く必要

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【短編小説】たぶん、大丈夫

【短編小説】たぶん、大丈夫

 ひとり娘のヒナ子は四月から小学校に入学したが、まだひとりで登校したことがない。「ママと一緒じゃないと行かない」と毎朝駄々をこねるのだ。もう五月になるというのに毎朝私が小学校まで送り届けている。私は早く何とかしなければと焦っているのだが、夫は「そのうち友達でもできれば大丈夫だって」などと能天気なことを言って私のイライラを増幅させていた。
 ある日曜日のこと。私は、ヒナ子が私と寝る時に使っている大好

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【短編小説】笑える夏 #青ブラ文学部

【短編小説】笑える夏 #青ブラ文学部

 春生は生まれた時から私の言うことを聞かない子だった。

「お昼はチャーハンでいい?」と聞くと「ラーメンがいい」と言い、「今日は暑いからそうめん食べようか」と言うと「ざるそば食べたい」と言うような、端的に言うと面倒臭い子だった。

もちろん親としてはそんな子でもかわいい。そんな子だから余計に言うことを聞いてあげたくなって甘やかして育ててしまったかもしれない。

高校三年生になり、周りの友達が大学受

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