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自分を騙してビールをやめる方法

私はここ何年か、ほぼ毎朝、タイムマシンに乗っている。乗っかると、年齢が上がったり、下がったりする、イカすマッシーンだ。
そう高価な装置ではないが、残念なのは、時計の針が前に進むのか、後ろに戻るのか、自分ではなかなかコントロールできないことだ。
タイムマシンの製造メーカーは「TANITA」という。
タイムトラベルする際には、体脂肪率や筋肉量、骨の量なんかも表示される。おそらく時間旅行に影響するパラメーターなのだろう。
そうそう、ついでに体重も分かる。
そのタイムマシンで最近、久しぶりに30代の昔に戻ることができた。証拠画像がこちら。

今年で47歳なので、8年前に戻ったわけである。
30代に戻ったのは3年ぶりでして、こう、シャキッとした気分ですね。

2か月半で4キロ減量

ボケるのも飽きてきたので平常運転に。
この2カ月半で、体重が69キロから65キロ前後まで落ちた。
筋トレも並行して行った結果、TANITA先生の測定する「体年齢」なる胡散臭いものが43~44歳ぐらいから39~40歳まで下がった。

この体重計はずっと愛用していて、かつては「対実年齢スプレッド」はマイナス5~6歳で安定していた。体重は、増えても68キロぐらいでしたね。
それが、2018年春にロンドンから帰国して以来、体重のボトムが67キロ、上は70キロとレンジが上方シフトしてしまい、つれて体年齢のスプレッドが3~4歳に縮小してしまった。
かつてスプレッドがゼロないしプラスになったことはないので「がけっぷち」な気分であった。

この夏の減量成功で、スプレッドは一気に「貯金」ができるところまで回復した。
どうやって痩せたかって?
なーんて、タイトル見たら、わかりますよね(笑)
ビールを止めたのである。
重要なので繰り返します(←最近、気に入っている)
このクソ暑いのに、ビールを止めたのである。

こちらは「どうやって?」という問いに値するかと思われる。
意志薄弱な皆さん、心して聞いてください。

初手は「無益な自己暗示」から

ビールはうまい。
食前・食後、就寝前、昼からランチで小グラス。どれも最高である。
癖になる。当然、止めるのは大変だ。クソ暑いし。

こういうものをいきなり止めるのは、無理だ。
必ずどこかで無理が生じて防波堤は決壊する。
何が言いたいかというと「物事には手順がある」ということだ。

そこで、まずはこれである。

炭酸水である。アルコールやプリン体どころか、糖分すら入っていない。プレーンな、シュワシュワするだけの水である。

でも、これは「ビール」なのだ。
ビールだと思って飲む。
いや、「思って」なんて覚悟ではダメだ。
実際に「これはビール…これはビール…」と唱えて、目をつむって飲む。
なみなみと注がれたジョッキを想像しながらだと、なお良いだろう。
騙されたと思って、一度試してみてほしい。

ね?

こんなもんでビールの気分が出るはずがない。
「バカにしてんのか!?」と頭に血が上って思考停止するのが凡人である。
この炭酸水は、準備段階でしかない。
これを最低、1週間ほど続ける。もちろんこの間、ビールは禁止である。

然る後、こちらに移行する。

ノンアルコールビールである。銘柄は別になんでもいい。どうせ大差ない。
1週間にわたって「これはビール…これはビール……(ゴキュゴキュ)……ふざけんな!」という苦行に耐えたアナタは、驚くに違いない。

「これ……ギリギリ、ビールなんじゃない?」

本当です。この順番だと、とってもビールっぽく感じるのです。

肝心なのは「期待値コントロール」

かつてビール愛飲家だったころ、運転手役のときなど、たまにノンアルコールビールで代替することがあった。
そのたびに、「……なめてんのか!?」と鼻で笑っていた。
だって、ビール感、ほぼゼロなんだもん。
この「舌がビールを覚えている」状態からノンアルに一足飛びに行っても不満しか残らない。
だが、「ただの炭酸水」という、より一層ビール感に乏しいものでワンクッション置くと、事情は違ってくる。
「舌の期待値」をいったん下げることで、「これはこれでビールっぽくなくはない」ぐらいまで認識が変わるのだ。

今、アレコレとたとえ話を考えてみたが、夜中で頭が回らず、地雷を踏みそうな例しか思い浮かばないので自粛する。
とにかく、ポイントは「期待値のコントロール」である。

大事なのはモチベーション

さて、技術的側面については、余すところなく私のノウハウを公開した。
もう1つ、欠けているピースは、モチベーションの維持方法である。
巧みな期待値コントロールを駆使しても、ビールの誘惑は強い。
特に東京は最近、アチコチにクラフトビールを飲ませる店が増えている。おそらく、私の減量成功に対するジェラシーが出店動機の一因だろう。世知辛い世の中である。
そういう邪悪な世間の荒波を乗り越える、力強いモチベーションが必要だ。

と、散々、もったいぶっておいてナンですが。
私の場合、決断を促したのは「尿酸値」である。
私はもともと高めに出るヒトで、何年も「7から8」のレンジが居所だった(単位、忘れました)
それが5月の健康診断で、9.5というとびぬけた最高値を記録した。
ちなみに8を超えるとダメよ、という数値である。
痛風コワイ。
恐る恐る受けたフォローアップの面談で、医師から、

「今、この瞬間に痛風の発作が起きてもおかしくない数値ですね」

と脅された。いや、脅しじゃないですな。真実である。
痛風、マジ、コワイ。
痛いのが苦手な軟弱者なので、その日を境にビール断ちを決断したわけだ。
恐怖に優るモチベーションはない。

ロンドン駐在のツケ

こんなに尿酸値が上がってしまったのはロンドンに2年駐在した影響だろう。平日は毎日のようにパブに寄り、帰宅後もエールやビールをよく飲んでいた。

(行きつけだったInn of Court。居心地抜群)

週末は昼から瓶入りのエールを飲みつつ「おカネの教室」を書いていた。
出張や旅行でベルギーやドイツ、イタリア、スペイン、フランスなどあちこち行けば、地元のビールをぐいぐい楽しんでいた。

(シチリア島のタオルミーナで。そりゃ、飲むやろ…)

アバウトに見積もって、日本に居たときの2~3倍のビール(エール含む)を摂取していた。パブで飲むとパイント単位(570mlくらい)になるのも、飲み過ぎの原因だったと思う。
帰国後も寝酒でビールを飲むのが癖になっていた。
ま、因果応報ですな。

ということで、ひとまずはビールは禁止というか、アルコール全般を自宅では飲まないことにしている。
その代わりにノンアルコールビールをガバガバ飲んでいます。
ちなみに、完全禁酒は息苦しいので、飲み会では乾杯の1杯はビール、その後はハイボールなどに切り替え、摂取量は抑える、という緩めの規制にしている。この方が、自分に甘い私のような人間には、完全禁酒より長続きしそうな気がする。

(道玄坂のアイリッシュパブにて。あれ…明るいな…)

さて、ウチの会社は春と秋に2回、健康診断がある。
次の検査で尿酸値がどれくらい下がるか、楽しみである。
8以下に有意に下がったら、ビール解禁しちゃう気満々である。
下がらなかったら?
こんなに精進して効果ナシなんて、やってられるか!
と飲んじゃいそうだなぁ。
ビール、うまいですよねぇ…。

ちょっと大変な原稿に取り掛かっていて、息抜きのつもりが長くなってしまった。
しかし、禁酒の投稿とは思えないほどビール画像が充実してるな…。

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