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【吃音】不登校・休職や吃音の急激な悪化を防ぐために-各年代におけるリスクとマネジメント-

「朝の健康観察で、返事をするときに毎回言葉が出なくて…学校に行くのが嫌になってきてしまって、今は学校を休んでます」

「電話対応や朝礼のあいさつで毎回どもる。毎日の不安も大きくて、薬(抗不安薬や睡眠薬)を服用したり、精神科で診断をもらって現在は休職しています」

吃音のある学生や社会人で、日常生活に大きな困難を毎日のように感じて、不登校になったり、休職をされる方もおります。
また、不登校や休職まではいかなくても、予期不安がとても大きくなったり、何かのきっかけで吃音が急激に悪化してしまう方もいます。

今回は、吃音においての年代無関係に共通するリスクと、各年代におけるそれぞれのリスクを解説します。

-共通リスク-

・自己紹介
・日直・朝礼
・音読
・放送
・発表・プレゼン
・指摘・否定、からかい、マネ、笑われる等

吃音のある方は、最初の音(言い始め)でどもることが多く特定の苦手な音や言葉があるのも特徴です。また、名前などの言い換えのできないものでは、特に困難を感じやすい傾向にあります。あ行から始まる言葉が特にどもるという方も多いです。
からかい、マネ、笑われる等は、どの年代においてもリスクになります。それらがみられると吃音は急激に悪化しやすくなりますが、褒められたり受け入れられると吃音が軽減してくる場合も多くあります。
その他の吃音の特徴としては、一緒に同じ言葉を言うときはどもらないという特徴があります。音読や日直などでは順番にひとりひとり読む・言う環境ではなく、何人かで(もしくはみんなで)読む・言うという環境にしていくのも有効です。

-年代別リスク-

【幼児期(就学前)】
・フラッシュカード:ゆっくりとしたスピードで行う分には良いのですが、かなり速い速度で行うとなると、吃音の悪化要因の『話すことを急かす』にあたり、吃音を悪化させてしまうことがあります。
・発表会:緊張から固まって話せなくなる子、緊張はしていないけど吃音がみられやすくなる子がいます。また、ひとりで言うときは吃音がみられやすいけど、何人かで言うかたちなら大丈夫というケースも多くあります。

【児童期(小学生)】
・朝の健康観察:名前を呼ばれたら「はい、元気です」と答えるというもの。「はい」の「は」でどもる子もいれば、「はい」は言えるけど「元気です」の「げ」でどもる子もいるようです。毎日あるものなので、苦痛に感じやすいものです。
・九九(小学2年生):小学2年生の2学期頃に学ぶ学校が多いかと思います。最近の小学校の先生の中には、下記のような制限時間を設ける先生がいらっしゃいます。

例えば…「3の段を10秒以内に言えないと不合格」

吃音のない子では頑張れば何とかギリギリ言える秒数であっても、吃音のある子にとってはとても困難な課題になってしまいます。スムーズに時間内に言えなくて、いつまで経っても合格できない、吃音がさらに悪化してますますスムーズに言えなくなってしまう、というケースも多いです。
これも、吃音の悪化要因の『話すことを急かす』にあたります。制限時間を設けないこと、どもっても最後まで言えれば合格とすることなどを配慮としてお願いしていくと良いでしょう。
・1/2成人式(小学4年生)、卒業式(小学6年生):大勢の人の前で原稿を読んだり、決まった言葉を言うというときに困難を感じる子が多くいます。予期不安から、泣いて学校に行きたくないと言う子もいます。不安や困難を一番感じやすいのが、第一声(言い始め)です。
・少年団・クラブの試合で氏名を言う:とっさに名前を言うことに困難を感じる子も多くいます。

【思春期(中学~高校)】
・朝の健康観察:小学生の内容と同じ。
・受験やバイトでの面接:面接自体に不安や恐怖を感じる方も多いですが、面接のどの場面に一番不安を感じているかというと、入退室のあいさつ自己紹介です。入室のあいさつがうまくいくようになったら、その後の面接の受け答えもうまくできたと仰っていた方も多いように思います。

【大学・専門学校~社会人】
・実習・研修:自己紹介やあいさつ、報告などもタイミング良く限られた時間内でやらなければいけないことも多いため、様々な部分でプレッシャーやストレスがかかり、困難を感じやすくなります。
・就職面接:面接自体に不安や恐怖を感じる方も多いですが、面接のどの場面に一番不安を感じているかというと、入退室のあいさつ自己紹介です。入室のあいさつがうまくいくようになったら、その後の面接の受け答えもうまくできたと仰っていた方も多いように思います。
・名刺交換:いざ会社名や名前を言おうと思っても、言葉がスムーズに出ずに、しばらく無言状態になってしまうということがあります。
・電話:吃音のある方が最も困難を感じやすい場面です。電話を掛けるときと電話を受けるときでも流暢性が違う方もいますし、どちらも変わらないという方もいます。会社名や名前、「お電話ありがとうございます」や「失礼いたします」等を言うことに困難を感じる方が特に多い印象です。


リスクとなる事項や時期を知ることで、少しでも困難を感じる方、困難を感じる機会が減ると良いなと感じます。

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