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最高の写真を撮るカメラ

いい写真に出会った時、どのカメラを使ったんだろう、と知りたくなる。いつもハッと目を引く美しい写真を撮る知人はライカQを愛用している。私もライカを使えばもっと写真が上手くなるかも、と思うが50万円という価格に尻込みする。

ビデオ制作を仕事としている同僚の多くはSONYのαシリーズを所有している。大抵がCANONからSONYに鞍替えし、SONYカメラのコンパクトさと画質の良さを絶賛している。確かに同僚達の動画を見て、自分もSONYに鞍替えしようかな、と思う。

所属する職場の写真同好会で先日中国の写真家を招いてレクチャーが行われた。フリーランスの彼は雑誌や新聞の報道写真も撮るが、見せてくれた写真は主に家族の日常を撮った写真や、ストリートスナップだった。花畑で花と遊ぶ息子の姿だとか、最近アメリカに移住してきた家族の記録。段ボールが転がる部屋でマットレスに寝転ぶ家族の姿。どれも何気ない地味な日常の一コマだが、ドラマチックな瞬間として切り取られている。この写真家にとっては近所の路上にも、自宅の一室にも、くたびれた日曜の午後にも、シャッターチャンスが溢れているのだ。

レクチャーに出席していたメンバーはこぞってどのカメラを使っているか聞いた。彼の答えは「iPhone X」。「え、ただのiPhone?」と私を含め皆、心でそう呟いただろう。ハッと人目を引く写真を撮る人はきっと高価なカメラを使っているに違いない。そういう先入観があるからだ。大きなカメラは重いし被写体を意識させるから、iPhoneを使っているとのこと。それでは編集は高度なソフトを使っているに違いない、と思ってどのソフトを使用しているか聞くと「Lightroom」という答え。しかもシンプルな修正しかしないらしい。ここでもまた意表をつかれる。

本当にすごい写真家は媒体が何であれ、人を惹きつける写真を撮るのだ。何気ない風景にも写真になる瞬間を見つけ、素早くシャッターを押し、加工してドラマチックに仕立て上げる。技術やカメラの性能だけではない。その人の持つ感受性、観察眼、構図力。それら全てが写真の一枚一枚に反映される。

どんなにいいカメラに買い替えても、総合力が満たないと人を感動させることは出来ない。だからこそ写真は面白い。奥が深い。そして私を含め、写真愛好家達を魅了し続けるのである。

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