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新規参入者の持続可能性を引き上げる

今日更新の"イケウチな人たち"は、農業や漁業の持続可能な社会についての記事を読んだんだけど、今日はその記事の話。

新規参入者の現状

自然の恩恵を受けて、作物を育てたり、魚を獲ることを生業にしている一次産業者たちは、自然環境のことをきちんと考えていく必要がある。
そこでよく出てくる言葉が、持続可能な自然環境への意識。

この記事に出てくる"坂ノ途中"と"食一"はこれから先の農業や漁業のことを考えて、アクションを起こしている会社。こういう会社さんがいるっていうのは、一次産業者にとっては心強いなあと思う。

ただ、これを読んでいて新規就農者の内容が気になって仕方なかった。
新規就農者の現状が書かれていたんだけど、これが結構ショックなわけです。

"新規就農したばかりの頃は、基本的に生産量が少なかったり不安定な生産になります。
新規就農者が使える空き農地って、条件が悪いから空いているんです。面積が狭いとか、水はけが悪いとか、日当たりが悪いとか。そんなところで、機械も設備も充実していないところからやるので、当然そうなります。
そして、農産物の流通の世界において、「少量かつ不安的なものを扱うのは、アホのすることや」という常識があります。なので新規就農者がつくった野菜は普通の取引先はなかなか扱わない。
なので、近所の直売所に出荷することになるのですが、一部を除いて日本の直売所というのは、趣味で農業をやっているおじいちゃん、おばあちゃんが、「孫に小遣いをやれればそれでいい」くらいの感覚で激安で野菜を販売をしています。
消費者にとっては嬉しいことかもしれないけど、農業で食って行かないといけない新規就農者にとっては、めちゃくちゃ強力な価格競争に晒されるんです。
貯金がなくなり、お金が足りなくなって、夜にアルバイトを始めて、体を壊したり、精神的に追い詰められて自殺してしまう人がいるのがリアルな現状です。2年に1回くらい、僕が知っている人も自殺をしていたりするんです。新規就農って、そういう暗さを抱えているんですね。"

こういう新規就農者がいる現状ってどれくらい知られているんだろうか。
安いという消費者にとってうれしいことが、実は新規就農者の首を絞めている可能性があるなんて……。

そして、これって漁業にも当てはまる話だなと。

漁業は"漁業権"という、魚を獲ったり育てたりするために不可欠な資格の問題が絡むので、そもそもの新規参入のハードルが高いんだけど。

漁業権をなんとか獲得して漁業者になっても、養殖漁業と違って、日々の自然環境や取れ高に左右される。
そして、漁場にも元々やっている人たちのナワバリがあるので、経験値が浅い新規参入者にとっては多少なりとも不利になる。

新規参入を考える人たちにとって、不安定な要素があるままでは、なかなか踏み出しにくいのも頷けるなあと。

計画的に行える養殖漁業にしても、新規参入者に対しての手厚い補助金制度がきちんとあればいいんだけど、それがないのが現状。

そして、出荷まで何年とかかる食材を育てる場合、生産物が育って売れるまでの期間は収入源はゼロに等しい。
普段の作業の必要経費を払いながら生産物が売れるまでの生活をどうするのか、というところをしっかり考える必要がある。

今日はネガティブな話ばかり書いているけど、こういう現実があるっていうのは知ってほしいかなあと。


それをどういうアイデアで改善していくか、というところがこれからの課題。
記事にもあるように漁以外での収入があることや、補助金制度の改善が確実にできれば、漁業をやりたいって人も入りやすいんだろうな。

新規参入者として入ってくる人は、やりたいから農業や漁業をはじめる人たち。

"ですが、新規就農者は農業がやりたくて農業を始めるので、めちゃくちゃ勉強をするし、すごく働くので、出来てくる野菜が意外なほどに美味しいんです。
「少量かつ不安的なものを扱うのは、アホのすることや」という常識があるから、新規就農者の栽培したものは雑に扱われて、直売場で激安で売るしかなくなる。でも、消費者と農地をつなぐ人が「少量かつ不安定なものでも、価値がつくれる」という心構えでやったら、全然違ってくると思うんです。
だから、僕らは農家さんと細かいコミュニケーションを重ねながら、新規就農した人たちの農産物を売っていく。
今では、野菜を卸しているレストランから「思ったより安定しているね」と言ってくれるようになったし、京都で最も高い値段で野菜を売っている百貨店でも取り扱ってくれるようになりました。"

上の文章を読んでて、自分が育てた食材の商品価値をきちんと見出してくれる方々に出会える環境やきっかけ、応援してくれる人たちがたくさんいれば、もしかしたらなんとかなるのかもしれないよね。


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