見出し画像

マネジメントにおいて不都合な部分を切り取るやり方は得策になるのか、それとも・・

私は仕事柄、中小企業の管理職の方からお話を伺う機会がよくあります。
特にこの半年ほどは、環境の変化での売り上げの減少や、新人育成が思うように進まないという辛い思いを聞くことが多くなりました。

そのような折、営業管理をされている部長職の方より来年度の方針をお聞きする機会がありました。

「来年度は思い切った人事異動を考えています。
営業成績の振るわない人を各拠点から引き抜いて一同に集めて、そこで再教育を行うつもりです。
現場でも、なかなか伸びない新人社員の面倒を見るのが大変そうなのでね。
現場から離して教育部門の者から直接指導をさせて、良くなったら現場に即戦力として戻そうという考えなのです。
これで現場には優秀な営業メンバーが中心になるので、きっと来年度は売上アップが期待できると思うんですよね。」

部長さんの来年度の構想をお聞きして、私はなんとなく一抹の不安を感じました。

「ほんとにうまくいくのか?」

期待通りに動かない人材を不都合な部分として切り離すことで、次に起こることは何でしょうか?

私の頭にふと浮かんだのは、『2:6:2の法則』でした。
『働きアリの法則』とも言うようです。

組織やチームの中には優秀な結果が出せる人たちが2割いて、まあまあの中間層が6割、結果が出ない(やる気が少ない)人たちが2割いると言われています。
この割合は、チーム内の人が異動しても時間が経つとこの割合に収れんされると言われています。

ということは、結果が出ないとかやる気のない2割の人をチームから抜いてしまうと、中間層の中から調子の悪くなる人やなんとなくやる気がなくなる人が出てきてしまうということになりそうです。
(^_^;)


ここでひとつ考えてみたいことがあります。
結果が出ないとか問題を起こしがちなメンバーは、そのチームに悪影響しかもたらさないのでしょうか?

以前、新米の女性マネージャーから問題を起こしがちな新人の愚痴を聞いていた時のことを思い出しました。

「新人のA君は何度注意してもミスが多いので困っています。
私もよく見るようにしていますが、私の休みの時には他のメンバーもA君の様子を見てくれて私を助けてくれます。
A君をどう指導するかを話し合う時間を設けてみんなと連携をとりながら面倒を見ている状態なんです。
でももう疲れちゃったんで、A君は他の部署に異動してもらいたいのが本音なんです(苦笑)。」

「そうだったんですね。でもそれは悪い状態ですか?
A君の指導のために皆さんでよく話し合い連携を深めているのですね。
チーム内のコミュニケーションはA君の話題で愚痴もありながらも前向きで良好そうではないですか(笑)。
まだ管理職ではない中堅メンバーの方も新人さんの指導方法を学ぶ良い機会になっているようにも見えますよ。」

そういう見方もあるんですね。
そういう見方もしてみましょうよ。
と、最後は談笑になりました。

結果が出ないとか問題を起こしがちなメンバーにも、目に見えない役割があるのかもしれません。

不都合な部分を切り取る方法が得策になるのか、それとも何かの機会を失うことになるのか?

不都合な部分を外の要素と捉えるのか、内の要素と捉えるのかのスタンスの違いかなとも思いました。
(*´ω`)








皆さんに支えられて、noteを継続することができています (^-^) これからも皆さんの応援ができたり、ほっこりしていただける発信をしていきたいと思っています。