見出し画像

「世界史」を学ぶと大まかな世界の動きが
わかってきますよね。

15~6世紀からの「大航海時代」
ポルトガル、スペインの拡大と支配。
17世紀は「オランダの時代」
各国の世界各地での植民地争奪戦争を経て、
19世紀には「大英帝国の繁栄」へ。

しかし20世紀に入ると「世界大戦」が起き、
ヨーロッパ諸国が植民地や勢力を
失っていくのと引き換えに、

アメリカ合衆国とソ連の勢力が拡大、
いわゆる「冷戦構造」ができます。
しかし20世紀末には、
ソ連は崩壊、アメリカの一人勝ちに…。

ですが21世紀に入ると、今度は中国が台頭、
国力を増やしたロシアも戦争を起こし、
アメリカの覇権に「待った」をかけている。

…ここまでを、はしょって書けば、

スペイン、オランダ、イギリス、
そのイギリスに待ったをかけたのが、アメリカ。
アメリカに待ったしているのが、中国やロシア。

そう考えた時、これからの21世紀がどう動くのか、
「20世紀の歴史」からヒントを得ることが
できるのではないでしょうか?


もちろん、歴史には「繰り返す」部分もあれば
「繰り返さない」部分も、あります。

完全に再現されることなどは、ありません。
ですが、似たようなことは、起こりうる。

本記事では、20世紀の歴史を踏まえて、
現在の世界の状況にどう実用できるのか、
象徴的な事件「スエズ動乱」を題材にして
少しだけ書いてみたい、と思います。

まず、20世紀最初のイギリスについて。
「大英帝国」が、どれだけ凄かったのか?

イギリスと言えば
「ヨーロッパの西の端っこにある島国」
というイメージがありますけれど、
当時は、信じられないほど世界の各地域を
その勢力下に置いていたのです。


南アフリカ、エジプト、インド。

イギリスの『3C政策』というものがあります。
ケープタウン、カイロ、カルカッタ(コルカタ)。
この三つの頭文字から名付けられた。
アフリカの南と北、南アジアを確保。
中間の中東の利権も、しっかり確保しています。

東南アジアでは、マレーシアのあたり。
東アジアでは、香港
オーストラリアニュージーランドは当然ながら、
太平洋諸島のトンガとかギルバート諸島まで…。
北アメリカ大陸は、カナダニューファンドランド
中南米のあたりでは、ベリーズ
南アメリカ大陸には、ガイアナ。その他、多数。

アメリカ合衆国そのものも
1776年「イイナナロウよ 独立国に」までは
イギリスの植民地、でしたよね。

…そりゃあ、英語が「世界の公用語」に
なっているのも、わかる気がする。
隙あらばイギリス、世界の工場、大英帝国!

この大英帝国は、しかし、
1914年「イクイシ固い 第一次世界大戦」によって
かなりダメージを受けてしまいました。

ここから主役交代です。

アメリカが「徐々に」世界の盟主になる。
特に、国際連盟をつくるよう働きかけた
ウィルソン大統領の主張が、転換点だった。
「民族自決」、この言葉で
植民地地域が独立を目指して動き出したのです。

もちろんイギリスは、これに抵抗する。
しかし、じきに第二次世界大戦が起こり、
本国を守ることで手一杯となる。その間に
各地域はどんどん独立へ動いていく。
インドでは、ガンジーなどが活躍しましたよね。

…そういう「解釈」でものごとを見た時、
20世紀のイギリス→アメリカの盟主交代の裏には、
「アメリカの思惑」があったのでは…、
と想像してしまうのです。
(もちろん、それだけではない、とは思いますが)

その象徴的な動きの一つが、20世紀のど真ん中、
1956年の「スエズ動乱」。
日本で言えば、国際連合に加盟した頃です。

スエズ、と言えば、スエズ運河
エジプトのあたりにあるこの運河は、
ヨーロッパと中東、南アジアを結ぶ重要な場所。
これを確保していたからこそ、
「3C政策」が実施できていた。

しかし1956年、エジプト大統領のナセルは、
「スエズ運河の国有化」宣言を行いました。
イギリスはフランス、イスラエルとともに
エジプトへと出兵。
いわゆる「第二次中東戦争」とも呼ばれる。

しかし、ここで手を出してきたのが、
アメリカとソ連でした。
アイゼンハワー大統領とブルガーニン首相は、
手を組んで「停戦」を呼びかけていく。

…イギリスにとってみれば
「してやられた!」という感じかもしれない。
アメリカがソ連と組み、停戦を呼びかける形で、
事実上、エジプト側についてしまうとは!

国連で安全保障理事会が開かれます。
もちろん「五大国」には拒否権がありますので、
そこだけでは決まりません。
総会も動き、決議が採択された。
アメリカ・ソ連・国連の圧力により、
イギリス・フランス・イスラエルは
停戦・撤退せざるを得なくなった
のです。

翌年1957年1月、アイゼンハワー大統領は、
「イギリスに替わり、アメリカこそが
この地域で責任ある役割を担う」と宣言。
アイゼンハワー・ドクトリン!
中東の覇権がアメリカに移った瞬間です。

その後もアメリカは、中東で
影響力を及ぼしていますよね。
「湾岸戦争」「同時多発テロからのアフガン出兵」
「イラク戦争」など、
アメリカは中東に大きく関わっている。
その背景には、このスエズ動乱があった。

大事な拠点を失ったイギリスは、
他の地域でも徐々に影響力を失っていき、
1997年に「中国に香港を返還した」のも
記憶に新しいところです。

では、本記事の最後にこの「歴史」を少しだけ、
現在の世界を考えるのに実用してみましょう。

21世紀には、中国やロシアが現在の世界情勢に
「待った」をかけ、色々と行動してますよね。
…これは20世紀に、大英帝国イギリスに対して、
アメリカが「待った」をかけたのと
似ている部分がある
のでは?

ある国の大統領が、自分の国のものは
自国のものだ、と主張した。
隣の大国は憤慨、友好国を誘って
そこに攻め込み、支配をしようとした。
攻め込まれた側は、国際世論に呼びかけ抵抗。
…じきに大国の仲間だと思っていた国が、
「停戦」を呼びかけていく?

具体的な名前は生臭いのであえて避けますが、
えっ、これって「スエズ動乱」に
似ている要素がある
のではないか?

もちろん、国連での立ち位置も違いますし、
状況は同じではありません。違う部分も多い。
その意味で、歴史が繰り返されることはない。
しかし、同じように繰り返される部分も、ある。


20世紀には、イギリスに代わって、
アメリカが世界各地に軍事基地を設けて
「世界の警察」として活動していきました。
となると21世紀には、アメリカに代わって
どこかの国が、世界各地に軍事基地を…?

しかしそれをみすみすアメリカは見逃すのか…?
もしかして、どこかで衝突…?

その時、どうする、日本?
そして、自分は、あなたはどう動く?


共通点と相違点を分析し、想定、
「シミュレーション」をしておき、
「未来予想」をしていってこそ、
歴史は「実用」していけるのではないか。


そのように、私は思うのです。

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!