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[DX事例57]コンビニに来てもらうではなくコンビニが自宅まで配送?セブンイレブンのラストワンマイル!_株式会社セブン&アイホールディングス

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は小売業からです。大手コンビニセブンイレブンやイトーヨーカドー、レストランのデニーズなどを展開する株式会社セブン&アイホールディングスの配送DXです。


コンビニなのに配送? セブン&アイホールディングスのDX事例

セブンイレブンといえば大手コンビニの一つで、どこの地域にも店舗がありますね。タナショーもよく利用します。コンビニは自宅の近くにあり、夜遅くまで営業しているのでいつでも行ける安心感がありますが、今回はそんなコンビニに「行く」のではなく「届けて」くれるサービスの紹介となります。


①注文してから最短30分で届けてくれる「セブン-イレブン ネットコンビニ」
最近はネットで注文して自宅まで配送してくれる「ネットスーパー」の利用が徐々に増えているそうですが、セブンイレブンはネットコンビニサービスを展開しています。

セブンイレブンの商品を自宅や職場へ届けるサービスとなっており、近くの店舗からの配送となるため最短30分での配送が可能となっています。

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セブンイレブン「セブン-イレブン ネットコンビニ」より抜粋


最短30分の配送という驚異的なサービスを実現するために、2021年6月からはCBcloud株式会社の配送マッチングプラットフォーム「PickGo」を利用しています。「PickGo」を活用することで、同社のプラットフォームに登録している軽貨物の配送ドライバー28,000人に対して配送依頼のリアルタイムマッチングを行うことができます。

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PickGo for Business「ビジネスを加速させる「pickGo 配送API」」より抜粋


ネットコンビニで注文を受けてから、店舗近くにいる配送ドライバーに対して配送依頼を瞬時にかけることができ、商品のピックアップから配送までの一連の処理を実施することが可能です。
「セブンイレブンの商品を30分届けてくれる」、「配送時間は10時〜23時まで可能」、「1000円から注文OK」など、まさにコンビニのような手軽さが人気だそうです。そのため、現在東京や北海道などの550店で導入していますが、2025年までに全国2万店規模に拡大する方針とのことです。


②セブン&アイホールディングス全てのサービスを自宅に届ける「ラストワンマイルプラットフォームの開発」
こちらはまだ開発段階であり、サービス開始は先の話ですがご紹介します。セブン&アイホールディングスはグループ会社全ての配送サービスの一元化を進めています。主なサービスとしては、先程ご紹介した「ネットコンビニ」、デパ地下グルメのデリバリーサービス「e.デパチカ」やイトーヨーカドーのネットスーパー、トラックを使った移動スーパー「セブンあんしんお届け便」など、の多方面に渡ります。

現在までのセブン&アイホールディングスの配送事業は、外部の配送会社に委託しており、事業会社ごとに委託先も異なっていたそうで配送効率が低い状態でした。そこでこの状況を打破すべく、ラストワンマイルDXプロジェクトを立ち上げています。

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株式会社セブン&アイホールディングス「セブン&アイ経営レポート(2021年2月3日版)」より抜粋


ラストワンマイルDXプレットフォームのポイントは、上図にあるAI配送コントロールにあります。AIが①車両・ドライバー、②配送料、③配送ルート、④受け取り場所の4つの項目を最適化することによって、様々な地域の顧客に対して迅速に商品を届けることが可能となります。ネットスーパーでは既に、顧客が選択する「日」「便」ごとに配送料が変わる「配送料のダイナミックプライシング」も導入しています。

このラストワンマイルDXプラットフォームはセブン&アイホールディングスのグループ各社のECサイト全てに展開する予定であり、AI配送コントロールの最適化により最大で配送距離を約40%、車両台数を約45%削減できる見込みも立っているとのことです。


DXと経営戦略の関連性について

上述したDX事例は、セブン&アイホールディングスでの取り組みの中でも一部の事例を取り上げただけであり、他にも様々なDX施策を展開しようとしています。

統合報告書である「セブン&アイ経営レポート(2021年2月3日版)」では、お客様との接点拡大のために「攻めのDX」と「守りのDX」という2つの軸での戦略マップを構想しています。

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株式会社セブン&アイホールディングス「セブン&アイ経営レポート(2021年2月3日版)」より抜粋


「攻めのDX」では、グループ各社のシナジーを創出するための施策や、新たな顧客体験を提供するための活動となります。今回ご紹介したラストワンマイルのように、グループ各社の商品を顧客に最適な形で届けることで、利便性を向上して地域社会へ貢献を目標としています。

また、「守りのDX」ではセキュリティ体制の構築や、店舗内の省力化・効率化が挙げられます。2019年に発生した7pay(セブンペイ)サービスでは、不正アクセスによるセキュリティ問題が発生しましたが、その反省を踏まえDX戦略の基盤としてのセキュリティ機能の追加や体制を作っていくとのことです。

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株式会社セブン&アイホールディングス「セブン&アイ経営レポート(2021年2月3日版)」より抜粋


セブン&アイホールディングスは、「攻めのDX」と「守りのDX」の両軸で改革を進めることで、ニューノーマルのライフスタイルに対応しながら顧客との接点を増やしていくための活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか? 以前のクロネコヤマトの記事や、ニチガスの記事にもありましたが、大量の顧客に「モノを届ける」ときにはラストワンマイルを検討することがトレンドになってきましたね。
大量の届け先に対して顧客の指定する時間帯に届けるというのは、もはや人の力だけでは困難な状況になっています。現在は人手不足の問題もあり、配送リソースも限られているのでなおさらですね。

もちろんそんなときこそITの活用が大事になってきます。特に配送業界においては、DX事例でも紹介した「PickGo」のような配送シェアリングサービスも増えてきています。限られた配送リソースをシェアしながら、いつでもどこでも荷物が届けられる環境が整ってきていますので、消費者にとってはますます便利になりますね♪
次回の記事も楽しみにしていただければと思います。
タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社セブン&アイホールディングス HP
https://www.7andi.com
株式会社セブン&アイホールディングス「セブン&アイ経営レポート(2021年2月3日版)」
https://www.7andi.com/ir/file/library/mr/pdf/20210203_all_a.pdf
株式会社セブン&アイホールディングス「中期経営計画2021-2025」
https://www.7andi.com/ir/file/library/ks/pdf/2021_07ks_01.pdf
株式会社セブン&アイホールディングス「ラストワンマイル」
https://www.7andi.com/company/challenge/12907/3.html
セブンイレブン「セブン-イレブン ネットコンビニ」
https://www.sej.co.jp/services/netconvenience.html
PickGo for Business「ビジネスを加速させる「pickGo 配送API」」
https://pickgo.town/business/api/
impress BUSINESSMEDIA「セブン&アイが掲げる「ラストワンマイルプラットフォーム」とは」
https://netshop.impress.co.jp/node/8862

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