これ以上ない明確かつ公平な選手選考

本日、2020年東京オリンピックのマラソン競技の代表選考レースである、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が行われた。

この大会で1位、2位に入った選手はオリンピックの代表に内定し、3位の選手はこれ以降の3大会で設定タイムをクリアしたものがいなければ代表に内定する、まさに結果がオリンピックの代表に直結する大会なのである。

これまでは、他の競技も含め、世界大会等の代表選手選考方法として、抽象的な基準が設定されていたり、選手選考委員会等で決定するといった、不明確又は透明性を欠く選手選考が多かった。また、マラソンなどの屋外で行われる競技は、天候や他の出場選手等に結果が大きく左右されるため、同じタイムであっても、大会が異なれば、タイムの価値は大きく異なる。

一方、東京オリンピックのマラソンの代表選手選考方法は、上記のとおり極めて明確であり、かつ、1つの大会(しかもコースや大会時期も本大会時とほぼ同じ)の結果で決めるという、公平な基準となっており、他の競技の選考方法と比べても、これは極めて珍しいケースである。

代表選手選考方法は過去にも幾度となく問題となってきたが、仮に選手が代表選手選考方法が基準にのっとっていないなどと考えた場合には、日本協会(連盟)内部の紛争解決機関、又は日本スポーツ仲裁機構(JSAA)を利用して、方法の不適切性を争うことになるが、そのハードルは高い。

選手としても、1発勝負になるので、体調管理やピーキングとの関係で難しい面もあるが、これ以上ない明確かつ公平な選手選考方法であり、納得感があると思われる。他の競技も見習うべき点があるのではないか。

結果として、駒大ー富士通の中村選手が優勝し、東洋ートヨタ自動車の服部選手が準優勝となり、この二人が内定を獲得。3位の早稲田ーナイキの大迫選手が3位で、実質内々定を獲得した。

陸上長距離のファンである私としても、マラソンの現日本記録保持者である大迫選手と、元日本記録保持者である設楽選手の東京オリンピックでの共演を見たかったが、それはもう叶わない。ただ、勝った者が強い、これがスポーツのおもしろさである。

マラソンだけでなく、全ての競技において、納得感のある代表選手選考が行われることを期待したい。

#COMEMO #NIKKEI

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