見出し画像

「たまご好きのカルボナーラ」失敗が少なくておいしい作り方

パスタのメニューの中でもハードルが高めなカルボナーラ。
火加減を間違うと卵とじになってしまうので、クリーミー方面に寄せるほうが無難なのでしょう。ここ20年ぐらいの間にすっかりクリームソース系に分類されるようになってきた気がします。

しかし、わが家のようなたまご好き人間としては濃厚なクリームではなく、たまごの味わいを感じられる濃厚さが欲しいのです。
レシピは最後にまとめてあります。まずは材料と作り方の工程とその理由を解説します。

材料は手に入りやすいもので

この作り方ではパンチェッタも生クリームも使いません。卵も卵白を捨てたり余らせたりせず全卵を使用します。

まずはパスタ。1人前が100g程度。1.4mmのフェデリーニです。

画像1

理由はありません。在庫してたからです。
1.6mmでも1.8mmでもいいけど、太くする分味を濃くしないと「たまご好き」を納得させる味わいには近づかないでしょう。そういう意味で理由は後付けですが、1.4mmは失敗の少ないカルボナーラとしてはマッチしてるんじゃないかと思います。

そして、チーズを3種類。冷蔵庫の中にあったものを使います。

画像2

別にシュレッドチーズじゃなくてもスライスチーズでもいいし、クリームチーズが無ければ6Pチーズでも構いません。
クセの無いプロセスチーズならだいたい無難にまとまります。
個性を強く出したいならブルーとかを入れるのも手ですが、ポイントは数種類を混ぜること。
この後の手順で説明しますが、加熱タイミングを分けることで多層構造の濃厚さを作り出すのです。

肉類は普通のベーコンでOKです。

画像3

写真ではいい感じに刻んであるベーコンを使ってます。「楽」の文字をじーっと見てると沸々とこみあげてくる笑いがあるので、ちょっと目をそらしましょう。

あとは玉ねぎ。これをニンニクに変えれば少しパンチが強くなります。

画像4

玉ねぎのほうが甘みが出てお子様テイストに近づきます。
今日は子供も食べるので玉ねぎ。

失敗の少ないカルボナーラ全行程解説

まず第一段階としてベースとなるソースを作ります。この作り方では、肝心のたまごは後から和える方式です。はじめからソースと一緒にしません。
オリーブオイルで粗みじんの玉ねぎをちょっと透き通るぐらいに火を入れ、ベーコンを投入します。

画像5

カリカリベーコンが良ければ、初めからベーコンを入れて玉ねぎと一緒に炒めてもよいでしょう。

画像6

そして、牛乳を(なんと低脂肪乳でした。でも問題ありません)50cc/1人前ぐらいをボウルにそそぎ、シュレッドチーズはそこに投入します。量は適当で構いません。チーズの質(風味)に合わせて調整してください。

画像7

画像8

そうこうしているうちにお湯が沸いたので、パスタを投入。

画像9

お、多いな。ちょっとお湯が足りないかも。

画像10

そして、次がこのレシピの一つの重要ポイントです。なんと、

画像11

コンソメです。
これで、低脂肪乳だろうがプロセスチーズだろうが、味をまとめてくれるのです。

どんなパスタ料理でも味の決め手は実は塩味です。
プロはその塩味の加減をギリギリのところでピタッと決めます。その腕があるから(ヘンな話)原価が安くてもおいしいパスタになるわけです。

素人にそれを求めたところで、ほかの食材との差し引きによる塩の量を的確に決めることはできません。同じ材料で何食も作れば調整できるんでしょうけど、家庭料理としては無理があります。

そこで次善の策として、うまみ成分の方向に味の決め手を寄せるわけです。
このコンソメが入ることで塩分が足りなくても気にならなくなるのです。

画像12

写真は3.5人前なので思い切って顆粒のコンソメを1本、全量使います。
で、よく混ぜておきます。

画像13

とか言ってる間にベーコンを焦がさぬよう。

画像14

コンソメとチーズを溶いた牛乳を、炒められた玉ねぎとベーコンに注ぎます。

画像15

ここで火を中火~弱火に。

画像16

そして、クリームチーズを投入。お箸でほぐします。
もちろん切ってから入れれば済む話です。ここで握力を消耗してる場合じゃないです。。。

画像17

よく見かけるレシピでは、生クリームと卵黄をボウルで混ぜて用意しておき、ゆであがったパスタと炒めた具材を和えるという手順もあります。
しかし、その作り方の場合、たまごが固まるリスクを回避できるものの、生卵っぽさの問題が出るのとパスタが冷めるという問題があるのです。

それをこのレシピではこの段階で卵と牛乳を分けてソースを温めておくことでその問題を回避するわけです。
というわけで牛乳を注いだ後のボウルに卵を割り入れ良く溶きます。

画像18

ここでは卵白を切るようによく混ぜておきましょう。
そして、ここには粉チーズをドバっといれます。

画像19

なんで卵液側に入れておくかというと、チーズはそれぞれ種類によって融点が違います。パルミジャーノ系の粉チーズは比較的融点が高めなので、卵液側に混ぜておくことで最後に和えた後にも風味を残したままにすることができるのです。

画像20

ざっとこのぐらいは入れて、よくかき混ぜておきましょう。

画像21

パスタがゆであがったら、温めたソースパンにボンっと投入してよく和えます。

画像22

牛乳の水分がパスタに吸い込まれていきますが、慌てずによく和えましょう。ソースが温まっていればもう火を止めて構いません。

画像23

全体に行きわたったら、一呼吸おいて卵液を投入し、素早く混ぜます。

画像24

フライパンに接した部分が凝固しやすいので周囲からパスタでこそげるように絡ませていきます。繰り返しますが、火は止めておいてください。
先に温まったソースがちゃんと絡まっていれば、卵液はスムーズにのびていきます。

画像25

この工程は最大でも15秒程度で盛り付けに移行しましょう。
粘度はお好みですが、わが家はこのぐらいの感じが好みです。

画像26

盛り付けたら黒コショウをお好みの量(多めがおいしいけど、写真は見た目を重視して控えめにしてます)ふりかけて完成です。

画像27

卵とじにはならず、クリーミーだけどたまご好きが納得できる濃厚な味わいになります。

「美味しんぼ」の味を想像するところから始まった

ここまで理屈をこねまわしておきながら、実は「このお店のカルボナーラを再現したかった」的なカルボナーラを食べたことがありません。

カルボナーラとの出会いは漫画「美味しんぼ」です。
もうウロ覚えですが、パスタ料理のシェフの腕を見極めるのにはカルボナーラを作らせるのが一番いい、的な話だったと記憶しています。
そこで、半熟の卵が絡んだパスタのおいしさが表現されいて、その漫画の世界の料理に若き日の胃袋がノックアウトだったのです。それからというものその再現(食べたことない味)に取り組んできたウン十年でした。

20年ぐらい前からレトルトのソースも出てきて、キューピーのものをずいぶん食べましたが「美味しんぼ」のイメージとは違います。それ以外にも最近は和えるだけのものだったり、だんだん手軽になってきましたが「半熟の卵がからまる」イメージからは遠ざかっていきます。
その中でもソースがチーズ系と卵系に分かれている商品があり、それが今回のレシピのヒントになりました。

クリームではなくたまご寄りのカルボナーラの難しさを一気に下げる、後から和える方式&コンソメパンチで、みなさんもおいしいカルボナーラをお楽しみください。

「たまご好きのカルボナーラ」レシピまとめ

材料(2人前)
パスタ(1.4mm):180g
牛乳(低脂肪でも成分無調整でも可):100cc
プロセスチーズ:20g(だいたいスライスチーズ1枚程度)
クリームチーズ:18g(個包装の1個)
粉チーズ:20g(適当)
たまご:2個(全卵)
コンソメ顆粒:2.25g(1/2袋)
ベーコン:80g
玉ねぎ:1/4個(ニンニクなら1片)
塩:分量外(ゆで湯用)
黒コショウ:少々
作り方
1.パスタをゆでる(普通に。ほんの少し固めがおすすめ)
2.牛乳にプロセスチーズとコンソメを入れて混ぜておく
3.玉ねぎとベーコンを炒め、2.を入れ温めてクリームチーズを入れて溶かす
4.卵を溶いて粉チーズを混ぜておく
5.ゆであがったパスタを3.に入れ、加熱は止めてよく和える
6.5.に4.を入れ、卵液が全体に行きわたるように素早く和える
7.盛り付けたら黒コショウをふりかけて出来上がり

ちなみに、写真では菜箸(ずいぶん使い込んで短くなってる)を使ってますが、危ないのでパスタトングとか、ちゃんと長い菜箸を使いましょう。
人数が多い場合は菜箸で盛り付けるのは握力との勝負になるので、パスタトングのほうがおすすめです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?