いまわたし、トスカなの。(鬱なんてイケてない言葉で呼ばないで。)

もしかしたら、あなたも、トスカの被害者なのかもしれない。

"もしロダンがロシア人だったら、あの有名な彫刻を「考える人」ではなく「トスカ」と名付けたにちがいない。"

こうとも言われているこのトスカ。
端的に言うと、以下のようなものらしい。

"否定的感情の総和よりさらに大きい何か、まったく異なる何かなのである。"

ますますよくわからない。
では、その症状を確認してみよう。

”万力で心の臓を締めあげられ、足の先から頭のてっぺんまで熱と寒気とを交互に浴びせられ、そのあとまるごと齧られるのだ――この世に生を享けたことを悔やむほどにも。"

あるいは、以下のような症状も報告されている。

"トスカは幻滅を、自分と世界に対する極度の嫌悪感をさえ呼び起こす。トスカに見舞われた人間はとことん孤独感に苛まれるが、誰とも共通の言語を見いだせない。彼は漠然とした期待を抱いてはいるものの、深刻な無感動に囚われているために、行動を起こす一切の意志がなくなっている。 "

その他、多くの症状が確認されているが、ひとまず割愛し、
まず、どのような場所に発生しやすいのかを確認しよう。

”ホームレスが蚊と一緒に越冬するかび臭い穴蔵だろうと、金箔を被せた完全防備の宮殿だろうと、ロシアではトスカから逃れることはできない。”

つまり、全土というわけか。これはかなり危険である。しかも、”伝染病のごとき性格を帯びている”らしいではないか。
で…では、どのような人が注意すべきなのだろうか。

"神もトスカを免れず、時としてそれを追い払う力さえないのである。"

……つまり誰でもその危険性があるということ。

"しかし、前もってその到来に備えるのは、限りなく不可能に近い。トスカは不意打ちを食らわす。あまりにいきなりやってくるので、そこに何かしら魔法じみたものを感じるほどである。"

まとめよう。
①症状:とてもつらい
②危険性の高い地域、人の特徴:すべて
③潜伏期間・感染経路ほか:不明。突然発生する。
少しでもあやしいと思われた方は、今すぐトスカについて勉強することをお勧めする

ちなみに、勉強におすすめなのは、この一冊。

私がロシア語にハマるきっかけにもなった、
『落日礼讃』著者:カザケーヴィチ、ヴェチェスラフ 訳者:太田正一
へ、愛と感謝を込めて 2020/05/03 ほかる
(本文引用箇所はすべて本書より)


ほかるメモ:
毎日毎日、朝から晩まで、常に調子良く元気よくなんて生きられない。バリバリ働きたい日もあれば、どーしても働きたくない日もある。女の子の日の休暇があるなら、トスカ休暇があってもいいんじゃない?

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