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#288 縛るルールと自由へのルール

 こんにちはパプアニューギニア海産の武藤北斗です。まずは5行で近況。オッペンハイマーを観てきました。思っていたよりも難しく家に帰ってパンフレットなど読んでやっとスッキリしてきました。今週もう一回観ようと思っています。広島・長崎の映像が入っていないことに関しては、『原爆が悪』だけで終わらせず、作った人達が結果的に抱えた苦悩などを感じるためと受け取りました。そこに映画の意味があるのかもしれません。

 それでは今週のnoteはじまります。

パプアニューギニア海産・代表取締役工場長、「生きる職場(イースト・プレス)」著者の武藤北斗です。毎週金曜note投稿中、フォロー嬉しいです。
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288回 縛るルールと自由へのルール

 先日見学に来た方に『ルールに対してのイメージがガラッと変わった』との感想をもらいました。

 組織のルールは従業員を縛ることが目的であり、会社の都合に合わせるためのものというイメージだった。しかしパプアニューギニア海産のルールは全く違うものに感じたということです。

 私がイメージしているルールというのは従業員の選択肢を明確にし、そしてその選択肢を気兼ねなく選べるようにするもの。それは選択肢を増やすだけでなく、多すぎる選択肢を減らすこともあります。でも縛っているのではなく、あくまでも気兼ねなく選択できる適正な量に調整するイメージです。結果として一番大切に考えている争いのない組織に近づきます。

 例えば『社員がいない時は私語禁止』などは一見縛られているようだけど、実は選択肢を制限しラインを明確にすることで争いをなくした一つの例です。

 社員がいない時は私語禁止とだけ聞くと、パートさんをまったく信用していない嫌な職場だなと感じる方も多いでしょう。しかし実はこのルール、パートさんの要望からできたものなんです。

 まだフリースケジュールを始めたばかりの頃、今とは真逆の『いつでも私語OK』というルールを作りました。理由は大きく2つあったように記憶しています。細かな作業を長時間続けるので息抜きになる。もう一つはコミュニケーションをとることで組織がまとまるのではと考えたのです。この経緯に関しては著書『生きる職場』にも書いています。

 しかし結果としては、うまくいきませんでした。シンプルに説明すると『私語いつでもOK』というのは言い換えると『いつでも誰とでも私語をしてください』ということだったのです。ある程度の人数が集まれば、話が合わない、気が合わない人が必ず出てきます。別に嫌いではない、だけど話が続かなくて気まずい。新人さん、勤務時間が短い人、話すのが苦手な人、そんな人たちにはかなり辛い状況です。

 こうなると出勤前に考えるのは『気の合う人と楽しく話す』ことではなく『気の合わない人と一緒になったらどうしよう』という不安です。程なく何人かの従業員から『私語いつでもOKはやめてほしい』との話がありました。ここで大事なのは『じゃあ元に戻そう』ではなく、どう変化させるかを考えることです。この時はラジオがあったらいいとか、社員がいる時なら気まずくないとか、いろんな意見をもらい採用しました。理由を聞くと随分とイメージが変わったのではないでしょうか。

 
 では縛るルールと、選択を増やすためのルールは何が違うのかというと、『誰がそのルールを作っているか』ということです。私たちのルールは従業員の声が元になっています。使う人が作れば全てのルールには明確な理由がついてきます。

 ここで縛る経営者が考えるのは『楽するルールばかりになったらどうするんだ』ということ。まあまずはやってみてください。そして楽するルールだなと思ったらそのことを従業員と面談で話してみてください。何かが見えてきます。これが大事なんです。

 働きやすい職場を目指して分かったことは、みんなは楽をしたいわけではなく、ましてやサボりたいわけでもない。不公平を無くしたい、人間関係に悩みたくない、それは集中して働ける職場にしてほしいということだったのです。キレイごとに聞こえるかもしれません。でも周りを見回してください、そんな職場がどれだけあるでしょうか。思っているよりもずっと難しい事なんです。

 ルールに関して大事にしている事をもう一つ話して終わりにします。

 ルールを作る時に必ずイメージするのは『自分が弱い立場だったら』ということです。右も左もわからない新人だったら、こんな障害があったら、こんなことが苦手だったら、なるべくリアルに考えるようにします。そして誰もが苦しまないためにはどうしたらいいのかを考えます。

 私は楽しくを目標にしません。それだと一部の苦しむ人が出てくるきがするのです。ですが誰も楽しんでいないけど、苦しんでいる人もいない、という組織は作れる気がします。そんなことを考えていたらパートさんが多いエビ工場にはたくさんの自分達で作ったルールが張り巡らされていました。

 誰もが苦しまないためのルール。選択を行使するためのルール。それを目指していればルールへの見方も変わってくるかもしれません。

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パプアニューギニア海産
代表取締役工場長 武藤北斗


・デカエビをぶつ切りのオリジナルエビフライ!!


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