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ミルト・パパタナシュの高い演技力! 「椿姫」_2019年12月1日

2019年12月1日に、ヴェルディ作曲のオペラ「椿姫」を鑑賞しました。

ソプラノのミルト・パパタナシュさんの高い演技力により、ラストシーンのヴィオレッタの姿が今までとは違って見えました。
最後、「痛みが消えたわ」というセリフとともにヴィオレッタは舞台の先へ数歩進み、光に向かって手を伸ばし続ける。セリフが終わってからもなお口は開けたり閉じたりし、本当はヴィオレッタの言葉が続いていることが分かりました。

病にさいなまれていた身体は軽く、力と希望に溢れてヴィオレッタの瞳は輝いている。ただ、道は途絶えており、言葉は発せられることはなく暗転。なぜなら、すでにヴィオレッタの命が尽き、魂だけの存在になっていたからー-。

今回は、舞台の右側に数メートルほどの花道のようなスペースが特設されていて、舞台がL字型になっていました。ラストシーンのヴィオレッタは、ここを踏み出していたのです。

音楽、演技、舞台美術といった表現によって、こんなにも見る側の感情が豊かになるものかと、しみじみ感動しました。

オケを含めて音の重厚感やうねりが素晴らしかった。
歌手がアリアを歌い始める前から、演奏によりその感情が伝わってきました。

「絶望の淵にあり、ふと過去の幸せだった光景が脳裏を過っている」ことや、
「祈っているこの瞬間、神と繋がっている安堵に包まれている。しかし現実は依然悲しみに沈んでいる」ことなど、言語化されていない感情が伝わる。こういう立体的な音楽に包まれているときが、とても幸せです。

あらゆる瞬間に鳥肌が立ち、耳が天に引っ張られる感触を味わいました。
すっかり、パパタナシュさんのファンです。

ききみみ日記】というマガジンに、ここ数年のオペラ・クラシック演奏会の感想を毎日UPしています。
直近の演奏会はもちろん、ここ数年のSNSへの投稿を遡りながら、微調整しています。 是非お越しいただけますとうれしいです。
(2022年10月10日開始)


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