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読書感想『なにかが首のまわりに』

『なにかが首のまわりに』
チママンダ・ンゴチェ・アディーチェ 著
くぼたのぞみ 訳

ナイジェリア内戦を体験した女流作家であり、フェミニストとしても活躍し、そのスピーチがディオールやビヨンセに取り上げられ、国際的なオピニオンリーダーとしても活躍するアディーチェの短編集。

ナイジェリア内戦の最中を生きる人々、難民としてアメリカに渡ったためにアイデンティティを白人の気にいるように変えていかざるを得ない人々、アフリカを支援していると言う欧米の白人たちが押しつけてする「アフリカ」など、「グローバルスタンダード」である欧米からの視点でしか見えていなかった「アフリカ」「ナイジェリア」を、当事者として知的で鮮烈に描いた文章はどれも素晴らしく、著者をはじめとするナイジェリア人、特にナイジェリア女性の哀しみ、強さ、豊かな感性が五感に訴えかけてくるように思えるほどである。原書は未読だが、これは日本語化されたくぼたさんの文章力も素晴らしいと言えるだろう。
今を、これからを生きる全ての人に読んで欲しい傑作だと思う。
今までも日本語化されていたようだが、なにしろ高価だったので、文庫で出版した方が広く読んでもらえると思うし、英断だったと思う。
河出文庫で表題作だけ読めるので、ぜひ読んで欲しい。
http://web.kawade.co.jp/bunko/2849/

#チママンダンゴチェアディーチェ
#グローバル #海外文学 #ナイジェリア #難民 #フェミニズム #河出文庫