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お兄ちゃん

人と知り合ったばかりの時には大抵兄弟の話になるけれど、私はその類の質問が大の苦手だ。一人っ子ぽいと言われたり、下の子がいそうと言われたり。一人っ子は我儘でマイペース、下がいる人は面倒見がいいしっかり者、みたいな「公式」があって、それに当てはめて楽しむ。この遊び自体に悪いところはないのだが、私は自分の番が回ってくる前に話題が移ることを祈り、極力存在感を消してその場でじっと待つ。

小学生の時は答えるのが面倒くさくて、一人っ子だよ、なんて言ってテキトーに流していた。そのうち一人っ子キャラが定着して、兄弟がいないと遊び相手がいなくて寂しいよね、なんて話に巻き込まれても、話を合わせて笑顔で付き合ってきた。だんだん誤魔化すことより合わせることの方が辛くなり、中学生になりコミュニティが変わってから、本当のことを話し始めたような気がする。

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