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ぶん…泉鏡花 ゑ…中川学『絵本 化鳥』

 この絵本の主人公は、ある男の子。

 学校の先生が「人は世の中で一番偉い」と説いたので、男の子は「人も、猫も、犬も、それから熊も、みんな同じけだものだ」と反論します。

 男の子は先生に叱られてしまったようです。

 しかし、男の子の母親はその考えを否定せず、優しく受け入れてくれます。

 この絵本の中で描かれる人々は、体は人間のものなのですが、顔は人間のものではありません。

 猪、狸、メジロ、うさぎなど、様々な生き物の顔をしています。

 きっとそれは、人間は万物の霊長などではなくどの命も皆等しい…ということを表しているのでしょうね。

 ある時、その男の子は川に落ちてしまいました。

 体が沈み、水を飲み、もうだめだと思った時…、羽の生えた美しい女性が男の子を助けてくれます。

 それがこの絵本のタイトルにもある「化鳥」。

 天使と呼ぶベきなのか?

 それとも天女と呼ぶべきなのか…?

 明らかに地上の生き物ではない、不思議な存在です。

 男の子はまたその美しい女性に会いたくて、「また川へ落ちてみようかしら」なんて考えてしまいます。

 しかし、この絵本の最後は男の子の「だけれども、まあ、いい。母様がいらっしゃるから、母様がいらっしゃったから」という言葉で締め括られます。

 男の子をこの世に引き留めてくれる「母の愛」という存在があって本当に良かったです。

 愛は、優しくて美しいから。

 「世の中で一番偉い」とか「偉くない」などという概念なんか、簡単に飛び越えてしまいます。

 この世は辛いことも多いけれど、大好きな人がこの世にいてくれるなら、自分もこの世に留まる理由になりますよね。

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