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著…五百田達成『アラン先生と不幸な8人』

 もし現代の高校教師が哲学者アラン(エミール=オーギュスト・シャルティエ)の大ファンだったら?

 という設定を基に、幸福とは何か? 不幸とは何か? について考察する本。

 対話形式なので読みやすいです。

 教師の名前は「亜蘭幸男」(通称アラン先生)。

 アラン先生の生徒は以下の7人。

 1.いじめられた心の傷が癒えず、誰とも仲良くなれない「人嫌男」。

 2.親が借金苦で自殺し、自身も貧乏で苦労したため、常にお金のことを考えている「金信女」。

 3.やりたいことが見つからず、勉強にもスポーツにも打ち込めず、ただダラダラしている「夢無男」。

 4.失恋する度に新しい恋で心を癒そうとするけれど、また失恋してまた自己嫌悪に陥るのを繰り返す「失恋女」。

 5.他人とただ目が合っただけでカッとなって暴力をふるうため、ハレモノのように扱われている「戦争男」。

 6.親から虐待を受けたことがあり、支配的な親から逃れたい一心で毎日勉強ばかりしている「毒親女」。

 7.生きることに意味を見出せず、何度も自殺未遂を繰り返している「自殺男」。


 この7人のうちの誰か1人にでも自分と共通する点があれば、アラン先生の授業が心に響くと思います。

 「他人の不幸は蜜の味政策」で、不幸な生徒をわざわざ集めていたのに、アラン先生によって生徒たちが不幸ではなくなってしまったため、アラン先生を敵視している校長「不幸男」とアラン先生の対話も興味深いです。

 なお、わたしは両親との関係に長年苦しんでいるので、特に、アラン先生が「毒親女」に対して言った、

「大人になってまで親のために生きる必要はないよ。子どもは大人になるまでの間すでに親孝行を果たしてるんだ」
(P210から引用)

 という言葉に救われた気がしました。

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