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作…林木林 絵…庄野ナホコ『二番目の悪者』

 噂話の恐ろしさを描いた、道徳的な絵本。

 誰かが悪意をもって意図的に作り出した、根も葉もないデマ。

 それが、色んな人を介して伝言ゲームのように広まっていくうちに、尾ひれをつけて一人歩きしていきます。

 誰もがその偽りを真実だと誤解。

 「火のないところに煙は立たないっていうからね」と。

 みんな、その噂が本当に正しいのかどうか、自分の目と耳とで確かめることをしません。

 鵜呑みにして。

 付け足して。

 拡散して。

 みんな、何の悪気もありません。

 「僕は聞いた話を、友達に教えてあげただけなんだよな」と。

 自分の罪に無自覚な、罪なき人々。

 中には、そうしたデマに反対意見を述べる良識ある人たちもいます。

 「悪い評判なんて、何かの間違いさ」と。

 しかし、みんな「そう言っているのはあんたたちだけだ」と聞く耳を持ちません…。

 多数派の意見に、少数派の意見は押し潰されていきます。

 多数派が正しいとは限らないのに。

 …この絵本の結末は、是非読んで確かめてみてください。

 この絵本の登場人物たちはみんな動物の姿をしているけれど、彼らがやっていることは人間が歴史上ずっと繰り返している愚行そのもの。

 この絵本を読むと、つくづく考えさせられます。

 少数派になることは社会から弾かれることを意味していて、それはとても勇気のいることだけれど、それでも真実を見極められる人間になりたい、と。

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