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著…北大路公子『ロスねこ日記』

 世の中には二種類の人間がいます。

 それは、「猫を持つ者」と「猫を持たざる者」。

 著者はかつて、「猫を持つ者」でした。

 しかし、愛猫を亡くし、今では「猫を持たざる者」。

 心の中で猫を飼ってみたり、SNSで他人の猫を眺めても、心にぽっかり空いた「猫の穴」を埋めることは出来ません。

 老いた親が二人いたため、「もし二人と一匹が同時に病に倒れたら…」と考えると、新たな猫を飼い始めるわけにもいかなかったそうです。

 これは、著者が編集者からのすすめにより、様々な植物を育てた記録本。

 椎茸の「けめたけ」、まいたけの「きせのさこ」、かいわれブロッコリーの「われ松」などなど、著者が植物たちにユニークな名前を付けてお世話をする様子が綴られています。

 著者は何を見ても、いや、何も見なくても猫のことを思い浮かべてしまうので、植物を育ててその面白さを楽しみつつも、頻繁に猫への想いも書いています。

 猫への愛情とは違う形ではありますが、植物への愛情も確かに著者の心の中で育まれているので、この本を読むと不思議な心地良さを感じることが出来ます。

 わたし自身も、かつては「猫を持つ者」でしたが、愛猫を亡くし、今では「猫を持たざる者」。

 猫を飼いたい!という気持ちは強いものの、命あるものはいつかは必ず死んでしまいます。

 猫を亡くした時の、あの、自分の心臓を握り潰されたかのような悲しみをまた味わうのか…と想像するだけでも辛いので、今では他人の猫を見るだけの日々。

 そんなわたしもこの本の影響を受け、植物の苗を購入しました。

 植物を毎日お世話して心を和ませようと思います。

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