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「わたし達だけ」を積み重ねたい

作家・大崎善生といえば『聖の青春』が有名で
だけど、わたしの全身には
『パイロットフィッシュ』が巡廻している

そもそもタイトルの『パイロットフィッシュ』とは

『たとえばね、アクアリウムの上級者が
アロワナとかディスカスだとか
高価な魚を買ったとするだろう。
高級魚というのは大抵神経質で弱いんだ。
そんなときに、
その魚のためにあらかじめパイロットフィッシュを入れて水を作っておくんだ。
これから入る高級魚となるべく似た環境で
生育した魚を選んでね。
そして、水ができた頃を見計らって
本命の魚を運んでくる。
でね、パイロットフィッシュは捨ててしまうんだ』

本文では、生きたパイロットフィッシュは
トイレに流されてしまう

恋愛において、受動的な態度のわたしは
著書の上記が自分の思想を言い当てる
「わたしは繋ぎでしかない」と
不要に踏み込まない理由が明瞭に説明してあった

割り勘でいたい、サプライズは苦手
相手への束縛や干渉をしないなどは
理解ある聡明さではなく、全て諦めでしかなかった

「いつか、この人は誰かと結ばれる」

引っ越しした当日から、次の引っ越しを考える
自分の居場所はここにない
例えていえば、この言い方が当てはまる

noteで、わたしと交際した人はいないから
証明しようがないが
相手はわたしを「冷たい人」と言う

昔、付き合っていた人とアクセサリーを見に行き
その場で口論になった
「どれがいい?」と聞かれ
「アレかな」と指差したとき、店員さんを呼ばれた

わたしは慌てた
「そんなつもりで言ったんじゃない」
相手と店員さんが何を言ったか覚えてない

「あなたの運命の人に買って差し上げてください」

今思うと、わたしの方が強烈に避けていた
相手の気持ちやプライドを傷つけて、独りよがり
自らパイロットフィッシュになりたがっていた

コンビニの駐車場に野良猫がいて
「おいで〜」としゃがんで猫に声をかける人がいて
猫は若干近寄るが、パーソナルスペースに入られると背を低くし、跳んで逃げてしまう

野良猫を見るたびに、わたしがそこにいる

パイロットフィッシュにしろ、野良猫にしろ
わたしは誰かを信用して幸せを委ねるのではなく
誰かと一緒に型枠から基礎を構築して
「わたし達だけ」を積み重ねたい



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