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その伏線に気付けるか。(映画「search/サーチ」を観て)

インターネットを活用して情報収集している人間にとって、楽しさも恐ろしさも感じるような作品をご紹介。

「search/サーチ」
(監督: アニーシュ・チャガンティ、2018年)

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妻を亡くし、16歳の女子高生と暮らすエンジニアの父親。

仕事もオンライン、何もかもがインターネットで完結。社内会議中、娘にショートメッセージを何度も送りつけるなど、愛情の裏返しか、何かと干渉しがちな中年男性が主人公だ。

そんなある日、娘が行方不明になってしまう。夜中にFaceTimeで連絡がきてから、ぱったりと連絡が途絶えてしまう。警察に捜査を依頼する傍ら、様々な手段を活用して娘のSNSアカウント(のパスワード)を特定し、娘の行動履歴を洗い出す。SNSアカウントや電話帳をもとに、片っ端から電話。同じ子を持つ親として共感できる部分もあるが、「ちょっとやり過ぎでは?」とも思ってしまう。

そんな彼は、さらに娘の安否が気になり過ぎて、あらゆるものに不信感を抱くようになる。

捜査不備を感じたら捜査官に昼夜問わず電話をかける。そっけない娘の友人などに高圧的な態度をとるようになる。弟の部屋に隠しカメラを設置して監視をする……。

あげく無実の少年に骨折の怪我を負わせ、父親はインターネットの世界で「悪者」になってしまった。

そんな感じで物語は終盤に至るまで、誰が被害者なのか加害者なのか分からなくなってしまうほどカオス状態が続く。SNSでは「父親が犯人だ」みたいな書き込みもあり、なるほどそういった見方もあり得るなという感じ。それもまたサスペンスの醍醐味といえるだろう。

インターネットに翻弄される人間の闇。不穏な気持ちで鑑賞を続けていたら、結末は意外なところに着地する。

父の目線や、俯瞰の視線などを頻繁に行き来し、観ている者は「誰が犯人なのだろう?」「あいつも怪しいな」とハラハラするような演出の連続だ。

後から振り返ると、「あれも伏線だったんだ!」と思わず手を叩いた。正直いって、別のところに気を取られて、それが伏線だということに気付くことができなかった。あんなに分かりやすく示唆していたのに、ちょっと悔しいです。

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「サーチ」というタイトルの通り、手掛かりのほとんどをインターネットから見つけ出していく。SNSやライブ配信サービス、画像検索などを徹底的に使い倒す父が、事件の鍵になるようなヒントを次々と見つけていく面白さがユニークだ。

インターネット初期のWebサービスの挙動など、細かいプロダクション・デザインもクスッと笑えます。

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