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額縁について 〜ウェブプランニングの技術でパニック障害と向き合う〜 1/2

あんた、何者なの?

はじめまして、浦川航といいます。今年で35歳になります。シフトブレインという制作会社で働いています。とてもいい会社です。社員は25名くらいで、かれこれ5年くらい働いています。唐突なのですが、僕パニック障害なんです。

なによ、パニック障害って。

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パニック障害とは、突然理由もなく、動機やめまい、呼吸困難、体の震えなど発作的症状に見舞われる障害のことです。症状は人それぞれで、一概には言えないのですが、僕の場合は、呼吸困難が主な症状です。電車に乗っているときや、打ち合わせで話しているとき、トイレで用を足しているとき、急に後ろからチョークスリーパーされてるんじゃないかって思うくらい、喉元を締め付けるような感覚に襲われ、呼吸が苦しくなって呼吸困難で倒れてしまうといった具合です。

あんた、大変じゃない!いつからそうなのよ?

2017年の7月5日【木】からです。もう1年半くらいになりますかね。結婚記念日だって覚えてられない僕が曜日まで覚えているんですから、それだけ強烈な体験たっだんだと思います。会社で仕事をしているときに何の前触れもなく呼吸困難になって倒れました。同僚が慌てて救急車を呼んでくれて、恵比寿の病院へ。その日は「疲れが出たんでしょう」ということで帰宅させられました。僕もそんなに気に留めてなかったんですが、それから2週間くらい会社を休んで、リモートワークで仕事復帰しました。でも7月の終わりに久々に会社に出社しようとしたときに、また症状に見舞われました。たしか電車の中だったと思います。それでおかしいなって思って、病院にいきました。それでわかったんです、自分がパニック障害だって。

それから徐々によくなったの?

いいえ、そこから2019年の2月ごろまでは本当に苦しかった。病院で処方された発作を止める薬を処方されている以上の量を随時飲んでいないと仕事ができない状態でした。処方された薬は「アルプラゾラム」という精神安定剤だったのですが、それを飲んでいないと症状が随時襲ってきて、苦しかった。確実に症状は悪化しているし、依存症にもなっていました。

あんた、大変じゃない!そのわりには今元気そうね。

いまは元気ですね、薬も飲んでいないです。あるきっかけのおかげです。

きっかけって?

それは、2019年3月6日【水】にある額縁に出会ったんです。そこから僕の戦いは始まったのかもしれません。今思うと、それまでは症状から逃げて、向き合うことをしてなかった。僕はその額縁と出会うことでパニック障害になる前よりも前向きになれているかもしれません。

やっとタイトルの額縁が出てきたわね。どんな額縁なのよ?まさか変な絵とか買わせるつもりじゃないわよね?

ちがいますよ!これです。

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これは、僕のじいちゃんが作った額縁です。中に飾られているのは僕のばあちゃんが描いた絵。ばあちゃんは絵を書くのが大好きでよく和室の片隅に画材を広げて、いろんな絵を描いていました。そのばあちゃんの絵を入れる額縁をじいちゃんが作っていたんです。ばあちゃんの絵に合わせてサイズや色を決めて、オーダーメイドの額縁。じいちゃんは大工でした。大工という仕事で培った技術を転用して、額縁を作っていたんです。
3月6日【水】、僕は症状がいつもよりもひどく、自宅のある街に帰ることができず、会社から自宅よりも近い実家に一次避難のために帰っていました。そんなときにこの額縁に出会ったんです。

何気なく見つめているとき、ふと思ったんです。


僕も、仕事で培った、整理する【design】/ 企画する【planing】の技術を転用して、パニック障害という病と戦えるんじゃないかって。


そこから僕の戦いは始まったんです。

へぇ〜、どんなふうに戦ったのよ

まずは、『パニック』のとき、自分の中で何が起こっているのかを言語化することから着手しました。『パニック』という課題の解像度をあげようと考えたんです。

それでまずは「リファレンス」を探すことからはじめました。

リファレンスってなによ?

参考文献みたいなものです。『パニックとは〇〇である。』というような、〇〇を埋める言葉をゼロから導き出すことは僕には難しいと感じたんです。そもそもそれができたらあんな状況にはなってなかった。だから、その〇〇に入る言葉に近い言葉を探したんです。こんな感じに。

(いったんタイトルさんの場所借りますね、よいしょっと。)

1.まずは近い感情を、思いつく限り書き出す。

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あまり深く考えず、思いつく限りの感情をノートに書き出すんです。もう出ないって思うくらい。上の画像は、実際に僕が描いていた言葉ですね。

2.比べて、選ぶ

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次に、書き出した言葉から、もっとも近いと思う言葉を選びます。なかなか選べない場合は、近しい言葉を比べて、違いは何であるかを自分なりに考えると良いかもしれません。僕はそうしました。たとえば『不安感』と『恐怖心』。

『不安感』と『恐怖心』を比べると、『恐怖心』のほうが対象がはっきりしているなって思ったんです。先端恐怖症とか、閉所恐怖症とかいうじゃないですか。でも閉所不安症とは言わない。そう考えると、『不安感』という言葉は【なにか漠然とした、対象がはっきりとしないもの】に向けて発せられる言葉なんだなってことがわかります。その後に『不安感』と『恐怖心』どっちが自分の気持ちに近いかを選ぶんです。

そんな感じに、書き出した感情の中から自分の『パニック』に寄り添っていそうな感情を選んでいきます。ここで大きな発見がありました。それは【僕のパニック】には【意識の流れ】があるということです。一つの感情で言い表せないということです。

3.パニック【意識の流れ】を図解化する

僕のパニックは、こんな流れで出来上がっている事がわかりました。

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もうちょっと細かく言いますと...こんな感じ。

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まず、常時【発作が起こっていないとき】には不安感がある。
(また発作が起こったらどうしよう)とか、ちょっとでも具合が悪いと(これは発作の原因になるんじゃないか)という不安感です。

そして発作が起こるとまもなく焦燥感に見舞われる。
(息が苦しい!)(発作が起こり始めている!どうしよう!やばい!)(倒れるかもしれない!こんなところで倒れたら大変だ!やばい!)というような焦りですね。

そして恐怖心です。ここでは対象が明確な感情です。これまで倒れたときの苦しい体験を恐れたり、死というものに対する恐怖心です。

この意識の流れの順が僕の中で起こっていた。そして、発作につながらなくても、(たとえば焦燥感でとどまることができたとしても)後には強い屈辱感に襲われる。
(まただめだった)(もう治らないんだ)(俺が弱いからなのかも)とか敗北感の先にある自信を踏みにじられたような感覚です。この感覚が常時ある不安感を増大させる原因でもあると僕は推測しました。

『パニック』という言葉の解像度が僕の中で、断然に上がりました。その後どうするか?僕は、それぞれの感情に対して行動的対策を設けることにしました。

4.それぞれの感情に対策を設ける

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こんな感じに。
常時感じている不安感には、毎日行う行動で対抗しました。ヨガや規則的な生活、あとは漢方を服用したりです。

発作の入り口の焦燥感には、心を落ち着かせる行動です。Youtubeの瞑想動画を音声で聞きながら呼吸を整えたり、指で胸をとんとん叩きながら数字を数えたりです。落ち着かせる行動を行うことを意識しました。

恐怖心については、いろんなことを試しました。なかなかうまくいかなかった、なんせ死に対抗するような行為ですからね。最終的に僕は『いつ死んでもいいな』と思えるように毎日悔いなく過ごそうと考えました。僕には4歳の息子がいるのですが、彼との時間を有意義に過ごすことを心がけました。あとは毎日布団から起き上がる前に「今日死んでもいいと思える人生を送る」と小声でつぶやいたりもしています(きもちわるいですね)

これらを行うようになってから、発作の回数は徐々に減っていきました。
対象がはっきりしたこと、そしてそれぞれの感情に対して対策を講じられているという安心感が関係しているのではと推測しています。本当に良かった。

それでもまだできないことが多かった。嘘だろと思うようなこともできなくなっていたんです。(タイトルさん、いったん返しますね)

そろそろ質問したかったのよ!!できないことってなによ。

一部ですが、以下のようなことが当時の僕にはできなくなっていました。

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生活のほとんどです。これも問題だった。
だから、できないことを階段にして克服しようと考えたんです。

できないことを階段にするってなによ?!

ちょっと記事が長くなってきちゃったので、次回書きますね。できないことを階段にして登ることで、いま僕は発症前とほぼ変わらない風景を望むことができています。そして、新たな発見もしました。『戦う』という言葉の定義が変わったというか...それはまた次回書きますよ!

(続きはこちらに)



※ここに書いているのは、僕の中にある『パニック障害』との経験談で、医学的な証明に欠けることばかりだと思います。まず症状に悩まれている方は病院へ行くことをおすすめします!僕はこれを書くことで、これまでの戦いについて、ひとつの区切りを付けたいと考えているだけなのかもしれません。あくまで個人的な活動なのです。

もしサポートいただけたら、こどものおむつ代にさせていただきます。はやくトイレトレーニングもさせなきゃなのですが...