ふりかけの裏と、もうすぐ秋

 ふりかけの裏面。「あたたかいご飯」という文字を見ると、なんだか心があったかくなってくる。自販機によくある「あったか~い」ではだめなのだ。

「あったか~い」は「~」に意識が向いてしまい、「あたたかい」というよりも「飲み物」としか思えないのだ。

 「あたたかい」と言い切った方が、ほかほかのご飯を連想させる。

 そして、ご飯のある風景は決まって寒い冬の日。木枯らしに吹かれて帰ってきて見る、晩ご飯。電気ストーブの効いた中、テーブルに並べられた、湯気の出る料理。

 ご飯。ふりかけ。おかずはいつもブリ大根。

 しょうゆと砂糖とお酒、そしてブリの出汁が沁みた、ほくほくの茶色い大根。

 ふりかけとのコンビで、いくらでもご飯が食べられそう……そんなことを、ふりかけの裏面を読むたび空想するのだ。

 もうすぐ秋の暑い朝でも、冬の食卓を思い出す。

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