細川 昌彦

中部大学特任教授

細川 昌彦

中部大学特任教授

最近の記事

東京マラソンは集客ビジネスだ!

 3万6千人のランナーが東京を駆け巡る東京マラソン。私もこれまで何回かランナーとして参加し、今年もチャリティー・ランナーとして参加した。東京マラソン2007年からスタートして年々進化している。コース設定も東京都庁をスタートして、浅草の浅草寺、スカイツリー、銀座、東京タワーと東京の名所を巡っていく。昨年からはゴールをこれまでのビッグサイトから東京の顔である東京駅前に変更して、ゴールした時のランナーの感動もひとしおだ。  海外のマラソン大会にも参加するとわかるが、日本人ならでは

    • トランプ発言に翻弄される日本のメディア

       先週、トランプ大統領の衝撃的な発言が新聞の見出しを飾った。「日本は『殺人』犯している」この衝撃的な見出しに愕然としたが、これは中国や日本、韓国、その他多数の国が米国との不公平な貿易で不当に利益を得て入ることを非難したものだった。それにしても激烈な表現だ。しかしこれは日本の報道の見出しに問題があるようだ。    原文を見てみよう。トランプ氏は”get away with murder”と言ったようだ。これは、「一方がやりたい放題やって儲けて平気で逃げる」という意味で使う品の

      • 中国が海外企業の先端技術とデータを狙っている!

        「軍民融合」が合言葉の中国に警戒 中国は「製造強国」を目指している。2015年5月に発表した「中国製造2025」計画がそれだ。その中で最も警戒すべきは「軍民融合戦略」だ。軍事・民間融合を促進して、製造業の水準を引き上げる戦略をいう。そのターゲットとして次世代IT、ロボット、新材料、バイオ医薬など、10の重点分野を掲げている。 露骨に軍事力強化のために海外の先端技術を導入した民生技術を活用することを謳っているのだ。                              

        • IRは『カジノをぼかすお化粧』なのか?

          カジノ解禁の大義名分は「IRの推進」?  政府はカジノを解禁する大義名分を「IRの推進」に見出したようである。訪日観光客を惹きつける観光の切り札としてIR(統合型リゾート)を推進することとしている。IRとは、滞在型観光のためにカジノ、会議場、展示場、アミューズメント施設、ホテルなど滞在型観光のための集客施設が一体的に整備・運営されるものいう。海外ではラスベガス、マカオ、シンガポールが有名だ。  そういうIRの魅力を高めるための目玉施設がカジノだ。日本も遅ればせながら、こう

        東京マラソンは集客ビジネスだ!

          美術館をデートスポットに変身させるには

           先日の新聞報道によると、観光庁、文化庁は訪日客をもっと増やすために、美術館、博物館の閉館時間を延長する取組みに力を入れるという。既に延長している美術館もあるが、さらに拡大していきたいとのことである。外国人観光客から要望も多いからだという。  もちろん大変いいことではある。ただし訪日客の誘致が目的であっていいのだろうか。また閉館時間を延長するだけでいいのだろうか。 もっと本質的なことを忘れてはならない。それは何か。 街の賑わいを創る発想で  日本の国公立美術館では閉館時間を

          美術館をデートスポットに変身させるには

          悪役トランプに救われる、したたかな中国

           米国トランプ大統領が初めて参加した今回のG20。案の定、トランプ大統領の国際協調を乱す孤立だけが目についた。反保護主義を謳う貿易問題しかり、地球温暖化防止のパリ条約問題しかりだ。おかげで新興国vs先進国といった、これまでのG20の伝統的な構図が米国vs米国以外という構図にガラッと変わってしまった。これはトランプ政権が未だ政府高官の重要ポストを任命できず、その結果、米国の外交戦略が極めて粗雑になっている結果だ。そしてこれで漁夫の利を得ているのが中国だ。 貿易問題の責めを負う

          悪役トランプに救われる、したたかな中国

          「コンクール大国」から「バレエ大国」へ脱皮するには

          日本は「バレエ大国」なのか?  先週、モスクワ国際バレエコンクールで日本人ダンサーが受賞した。ローザンヌなど有名な国際コンクールで日本人が上位入賞することは珍しくなく、国際的な活躍は目覚ましいものがある。吉田都、熊川哲也ら有名なダンサーもローザンヌ国際バレエコンクールで開花したダンサーだ。 まさに日本は「バレエ大国」として海外でも評価は高い。 何故だろうか。  まずバレエ人口の厚みが違う。バレエ教室は全国で1万から1万5千にも上り、町のあちらこちらにある。バレエ人口は40

          「コンクール大国」から「バレエ大国」へ脱皮するには

          族議員はやはり健在か、受動喫煙防止法案に徹底抗戦

           加計学園問題に目を奪われているうちに、政治の世界では国際的に恥ずかしい事態になっている。受動喫煙防止法案の今国会での法案提出を断念する。厚労省案は国際標準から原則、屋内罰則付きで禁煙にする。これに対して自民党たばこ議員連盟(約280人)を中心に、自民党が猛反発して徹底抗戦の構えで折り合う見通りが立たないためだ。「たばこを吸う人の権利を認めないのか」「小規模飲食店が経営危機に陥る」などが反対理由だ。塩崎厚労大臣の妥協しない姿勢に自民党は業を煮やしている。   これは喫煙家v

          族議員はやはり健在か、受動喫煙防止法案に徹底抗戦

          サミットで発揮、トランプ大統領のしたたか交渉力 ~貿易戦争での強力武器を手にする~

          G7サミットは一人の人間の登場で会議の様相が一変した。  事前の段階ではトランプ大統領がG7サミットに参加さえしない恐れもあるとの情報に激震が走った。直前になってやっと参加が決まり、一同ホッと胸をなでおろした。そこで会議の冒頭における安倍総理の役割は、G7の結束の重要性を発言することだった。それにもかかわらず、会議では地球温暖化対策のパリ協定や貿易問題で米欧の亀裂は決定的になった。そして最後の最後まで紛糾して、宣言文が出せるかどうか悲観的な見方さえ漂った。私もかつてG7サミ

          サミットで発揮、トランプ大統領のしたたか交渉力 ~貿易戦争での強力武器を手にする~

          「文書」の真偽が本質なのか?加計学園問題

          加計学園問題がワイドショー化してきたようだ。この問題を巡るメディアのコメントを聞くと,もっと霞が関の現場を理解したコメントでないと誤解が蔓延するなぁ、との思いを強くする。  文科省が作成した文書に「「総理のご意向だと聞いている」と内閣府から伝えられた」との記述があったのが発端だ。どうやらこの文書は文科省の担当者が内閣府との交渉状況を次官以下、文科省内部で報告するために作成した内部メモのようだ。役所では日常的に行われる仕事だ。確かに「文書」には違いないが、一般の人が思い描く

          「文書」の真偽が本質なのか?加計学園問題