青春18きっぷに思いを馳せる 〜お客様との会話忘備録vo.1〜
「雲仙の方には乗りたい電車があって行ったことあるんですよ」
愛知から来た60代のおじさまは柔和な笑顔が印象的だった。日本各地で車窓をぼーっと眺めるのが好きだという彼は、ときおり青春18きっぷで旅をするのだとか。
雲仙といえば長崎県。宿主の私も長崎も情報を頭の中からひねり出す。
「千綿駅のカレー屋、ほんとに日本一旨いです。たしか大村線ですね」
実はというと、私は全く電車に興味を持たないままに生きてきた。
しかし、なぜかここ数年、新幹線ではなく在来線でゆっくり移動するのも楽しい。それは、ときおり現れる彼のような鉄道旅を愛するお客様のおかげだと思う。
「鳥取から城崎に抜ける山陰本線は海がとても近くていいですよ。去年、伊根や天橋立まで行ったのなら余部鉄橋も行けばよかったのに」
彼はもちろんまたこれまでの出会った電車旅が好きなお客様の口からは、土地や駅の名を少し伝えるだけで、沢山の旅の情報と旅情が溢れてくる。
旅について語らう時間は、何歳になっても一種の青春と呼んでもいいのかもしれない。だからこそ、「青春18きっぷ」には青春という言葉が入っているのではないか。
夕食を共にしながら、彼の笑顔を見ていると、ふとそう思った。
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