からちゃん|島旅農園「ほとり」

「最近、一生懸命にごろ寝しましたか?」/農家民宿&ゲストハウスのオーナー in…

からちゃん|島旅農園「ほとり」

「最近、一生懸命にごろ寝しましたか?」/農家民宿&ゲストハウスのオーナー in 香川県丸亀市「さぬき広島」/観光学修士/宿泊予約はこちら→HP:https://shimatabi-hotori.wixsite.com/official

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私が島に移住した理由 ~旅を消費するだけでなく、旅を生産したい~

「旅」と向き合い続けること。 これが島に移住した理由を作ってくれました。 やはり旅に出たい一つ目の理由は、端的に、長期旅行に行きたいから。 長期旅行といっても、それは1週間では足りません。具体的に言うと短くても20日、理想は30日以上。 日本という国において30日連続の休暇は、都会で会社員をしたり、地方自治体で公務員の職に従事していては叶えられない夢です。 働くことよりも、休むことを考えているなんて、なんて浅はかなんだと思う人がいるかもしれません。 移住者であるならば

    • 48-46、36÷18は?

      「最後に一枚、いいですか?」 大阪から来た彼はカメラを握りしめた。そういえば、昨晩も彼が撮りためた写真を見せてもらった。そこには沢山の人の姿があった。 「嫁さんとはカメラで意気投合する部分がああって」 ほぼ同い年だった我々は仕事の話、ちょっと背伸びした人生の話とたくさんのことを話した。ただこうして振り返っても、カメラや写真、そしてそれにまつわる思い出を語る彼の姿が最初に脳裏に浮かぶ。 彼は大学までは東京で生まれ育った。しかし、いまや大阪の風土を愛し、あげく大阪出身の妻

      • 無趣味な私の趣味は喋ること

        最近ようやく気がついた。 自分の趣味は喋ることなんだ、と。 いわゆる趣味がないと気づき始めて、早10年が経つ。つまり、現在29歳の私は、貴重な20代を無趣味で過ごしてしまった。 そして同時に趣味であったり、好きなことを明確に言葉にできる人に憧れを抱き続けてきた。 「休みがもっとあれば、やりたいこと山程ありますよ」 と先日飲みの席で友人は言った。好きなアーティストのライブ映像をみたり、本を読んだり、お気に入りのカフェに行ったり。事実、そう語る彼女が私にはひどく楽しそうに見

        • あの曲はいつも手をたたく

          幸せなら手をたたこう。 そう言われて、叩ける人はどれほどいるのだろう。 また幸せの価値観は多様化しているというが、それに伴って幸せの絶対量も同時に増加しているのだろうか?どちらかというと、限りある絶対量を多様化した幸せで取り合っている気がしてならない。 では、幸せとは何か?と問われても答えはない。逆に言えば、答えが複数・人によると定義した時点で、幸せは多様化していくのだと思う。 手を叩け、とあの曲はいう。 ただ、どこかのポケットの中のビスケットが増えないように、幸せもま

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        私が島に移住した理由 ~旅を消費するだけでなく、旅を生産したい~

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        • お客様とのあれやこれ
          7本
        • こんなやつもいるから大丈夫です、知らんけど
          255本
        • コラム「離島で遠吠え」
          159本
        • 旅エッセイ
          20本
        • ほとりのごはん
          50本
        • 香川本鷹レシピ
          34本

        記事

          ”編集”ばかりの世の中じゃ、地域の価値なんて生まれない

          「地域の素敵なものを沢山集めて」 「誰かと誰かを繋ぐ」 最近こうした声に耳を傾けることに体力が必要になってきた。いつ間にこんなにもエディターだとか、コーディネーターだとか、ディレクターだとかが神聖視されるようになったのだろう。そしてその卵たちまでもが口々に地域を”編集”したいだの言い始めるように思えてならない。 「編集云々の前に、まずは一緒に体力仕事してくれる人がいい」 ド田舎に移住した宿屋・農家として、そんなことを思ってしまうときがある。「この宿をどんな場所にしていこ

          ”編集”ばかりの世の中じゃ、地域の価値なんて生まれない

          「べき論」旅のススメ

          「行くべきところが増えるじゃないですかぁ」 仁淀川は圧巻で、9月の高知ではメジカの子が食えるという話をすると、彼は嬉しそうにそう言った。新潟在住の彼は敦賀まで車で移動し、そこからは在来線で香川の離島にやってきた。 「人生50年もやってると、ちょっと知ってることが多いだけです」 謙遜しながら、私の知らない町を語る。そんな彼は昨年、一昨年と連続で、桜のために香川の紫雲出山に来ていたらしい。春の紫雲出山もまた、やはり行くべき場所だという。 「新潟にも来てください。酒と米はも

          スマホもカメラも持たずに街へ出た

          残り2%。この部屋のコンセントはなぜかベットの頭側でなく、足元側に設置されている。さすると元来怠惰で、また地元の謎のじいさんに勧められたウォッカを昨晩口にした私である。そんな私が夜の内に体を180度回転させてスマホに充電コードを差し込むなんてするはずがなかった。 ウズベキスタンのヒヴァは日本人の私からすれば嘘みたいな街だ。ヒヴァ・ハン国の首都だったというこの街は周囲を城壁に囲まれ、そこに迷路のように道が入り組む。そして世界遺産でもあるこの古都は多数の土産物屋が軒を連ねていた

          スマホもカメラも持たずに街へ出た

          目標の呪縛

          支離滅裂だか、思ったままに最近頭の中を渦巻く諸々をそこはかとなく書きつくろうと思う。 さて、先日宿に来てくれた方に、 「noteに書いてる件がやっぱり目標ですか?」 と問われた。それは四年前に書いたこの記事である。 久しぶりに読んでみるとありがたいことに「割りと達成できてるんじゃないか」と感じる。一方で、さもすると 「じゃあ、これからなんのために働いたり、生きたりするんだろう」 とも思った。 なんとなくこの感覚は宿を始めて数年以来、少しずつ大きくなりつつあった。

          インドのグッドシャワーおばちゃん

          2月末、コルカタはもう十分に暑かった。最高気温28度、前日まで滞在したブッタガヤの朝晩は少し肌寒いくらいだっただけに余計に堪える。 コルカタではインド旅行のラスト3日間を過ごした。すでに旅も25日目。「コルカタには何もないよ」と出会った多くのインド人が口を揃えたが、インドでは珍しく区画整理が整然と行われ、どこか安心感を覚えた。 コルカタの安宿街はサダルストリートという街の中心に位置する。しかし、私はというと最後の時間くらい少し落ち着いた場所で過ごしたいと、安宿街から駅三つ

          インドのグッドシャワーおばちゃん

          農家が収穫よりも好きなこと

          「この世に在る線は全て、線分である」 高校生の時に、そんなフレーズどこかで目にした。直線とは、ある2点を通る無限に続く線である。だから、その2点は端点ではない。一方で、線分は有限で端点が2つすなわち始点と終点を持つ。 高校時代、数学の授業で配られたプリントの座標平面にはしばしば2点を通る直線が印刷されていた。しかし、それはやはり数式的には直線でも、眼前の物質的な事実としてはせいぜい5㎝くらいの線分だった。私はその後も大量の線分を直線と呼びながら高校生活を送った。 時に一

          農家が収穫よりも好きなこと

          私は彼を小馬鹿にせずにはいられない

          旧友とは過去形なのか、それとも今を含んだ現在完了系なのか。大学時代の旧友とコタツで話しながらそんなことを思った。 学生時代、互いを小馬鹿にしながらコミュケーションを取っていた。 ただ眼の前の彼は、私の知らない世界で大きく働き、私の知らない言語まで話すようになっている。 思うに、小馬鹿にできなくなったらその関係は過去形で、逆に小馬鹿に罵り合える限りは現在完了形である気がする。 「お前の辛辣な言葉さえも、もはや懐かしくて嬉しいわ」 と彼は言う。やはり私は彼を小馬鹿にせずに

          私は彼を小馬鹿にせずにはいられない

          田舎で焦りながらも『ぼちぼちいこか』

          3月20日、島に渡る船が全便欠航になった。だから、翌日の午前中だけやって来られた。 「この絵本、懐かしいですね」 大阪出身だという20代の彼女は、大学を卒業以来、福井のとある町で地域医療に関わる仕事をしているという。 「都市部の大きな病院にそのまま就職するっていうのが、なんかしっくりこなくて。そのままでいいのかなみたいな」 そんな中、旅先で出会った人に紹介されてたどり着いた場所が福井だったらしい。 「仕事終わって、夜、恐ろしく暇なときありません?それで何もしてない・

          田舎で焦りながらも『ぼちぼちいこか』

          青春18きっぷに思いを馳せる 〜お客様との会話忘備録vo.1〜

          「雲仙の方には乗りたい電車があって行ったことあるんですよ」 愛知から来た60代のおじさまは柔和な笑顔が印象的だった。日本各地で車窓をぼーっと眺めるのが好きだという彼は、ときおり青春18きっぷで旅をするのだとか。 雲仙といえば長崎県。宿主の私も長崎も情報を頭の中からひねり出す。 「千綿駅のカレー屋、ほんとに日本一旨いです。たしか大村線ですね」 実はというと、私は全く電車に興味を持たないままに生きてきた。 しかし、なぜかここ数年、新幹線ではなく在来線でゆっくり移動するのも

          青春18きっぷに思いを馳せる 〜お客様との会話忘備録vo.1〜

          私欲で始めるボランティア ~インドのフリースクールでの出会い~

          昨年から地元の小学生が集まる施設でボランティアをしている。 そもそもはとある不登校の中学生との出会いだった。その子と話しているときに、その子含め何かしらの形で子どもの力になれればと思った。またシンプルに昔から子どもといる時間が好きだ。実際大学時代も児童を対象としたボランティア団体に顔を出していた。だから、私欲ではあるがそんな時間も欲しかった。 その施設に初めて伺ったとき、スタッフの一人から「なぜ子どもと関わりたいんですか?」と問われた。私はあの中学生のことを話した。またそれ

          私欲で始めるボランティア ~インドのフリースクールでの出会い~

          インドで人生変わらなかった

          今日も布団から出るのに15分かかった。 夕方に流れるニュースでは、面長で珍しい苗字のお兄さんが今日もにこやかに笑っている。 インドに行く前も、そうだった。 28日間のインドから戻ると「人生変わりました?」と質問してくる人が沢山現れた。無論、彼らも冗談半分なのだろうが、あまりに依然と代わり映えのない毎日を送っていることにどこか申し訳無さすら覚える。 何も変わらないので、またハウスジャワカレーでカレーを作る。インドカレーより美味い。もうバスマティライスもチャパティも当分食べ

          インドで人生変わらなかった

          丁寧を添える暮らし

          「島で丁寧な暮らししてますよね〜」なんて言われ始めて早四年。とはいえ、私は未だに大盛りチャーハンも、空きっ腹にビールも好きです。 そんな私の昼食の定番はインスタントラーメン。最近は春なので花壇で爆発している葉物やネギも適当に放り込んでおります。 思うに私の生活は丁寧な暮らしではなく、丁寧を添える暮らしだと思うのです。インスタントラーメンに旬の野菜を入れるみたいなもんで。 たとえインスタントラーメンが体に悪いとしても、私はやっぱり食べたい。だから、今日も少しだけ丁寧をラー