真剣に考えた方が良いけど、深刻には考えなくてもいい ~香川の離島に暮らす私が思う移住とお金の話~

都会の暮らしで月に5万円を貯金できている人がどれだけいるか?

移住の悩みは、お金の悩み

「収入少ないけど、元気ですよね」

先日、移住相談をしに来てくれたお客様にこんなことを言われた。私は今、香川県丸亀市の離島で農家民宿を経営している(貯蓄のために週3回バイトもしています)。

地方移住にご興味があるお客様は、しばしば私の年収や生活費についてお尋ねになる。そしてその際は、自身の内実をなるべく包み隠さずお話しするようにしている。それは、シンプルにあまりお金の話題に私が忌避感のないこともあるが、今年から「かがわ暮らし応援隊」として香川県から任命されたことも大きな要因だ。正直、移住に係る悩みの大半はお金に帰結しているようにも思う。であれば、包み隠さずオープンにしてしまおうと。

さて、27歳の私であるが、収入は同世代の友人たちと比較するとかなり少ない。もっとも私は大学院卒なので、学友たちの収入と比べると、正直嫌気が差したりもする。そのため、私は俗にいうワーキングプアを地で行っている節がある。
もっとあっけらかんにいえば、去年の年収は230万円程度だった。80万円の事業売上(←経費を引くともっと少なくなります)と150万のバイト代の計230万円といったところだ。今年は、バイトを年度内で卒業できるように、事業売上は150万円を目指しているといったところだ。

真剣に考えているが、深刻には考えていない

話を最初に戻すと、年収200万円台の割に、お客様曰く私は割と「元気らしい」。それはまだ27歳という怖いもの知らずのところもあると思うし、離島というド田舎がそうさせているのかもしれない(もちろん、くたばって一日中寝てる日もあります)
ただ私が思うに、一番大きな理由は、私自身がお金について真剣には考えているが、深刻には考えていない点にある

月5万円、貯蓄できていますか?

たとえば、移住相談を受けるたびに毎度お話しするのが「可処分所得(手取り給与額)から生活費を引いて何円残るか?」、もっと簡単に言えば「お小遣いや貯金にいくら回せるか?」についてである。

たとえば私が暮らすの島であれば、月に6~8万円あれば十分に暮らしていける(あくまで遊びや趣味などをあまり考えず、衣食住をそろえるという意味で)。事実、私自身も昨年までアルバイトを週5回フルタイム、月の手取りが11万円程度だったのだが、月に5万円くらいは貯金できていた。

ここで考えるべきは、都会の暮らしで月に5万円を貯金できている人がどれだけいるか?である。

参考までにりそな銀行が厚生労働省などの調査をまとめた資料を読むと、毎月の平均貯蓄額について20代は月4.3~6.5万円30代で月2.2~4.3万円であるという。しかもこれはあくまで平均の話である。年収200万円の人も、年収1000万円の人もすべからく足し算した結果だ。数字に出てはいないが、年収200万円台の人の平均はどうなっているのだろうか?おそらく月に5万円も貯蓄できている人は、都会ではかなり少ないだろう。

無論この5万円が多いか少ないかは各家庭の経済状況に依る。私のような独身世帯で食材は家庭菜園や差し入れでまかなっているような人間なら5万円は大きな額に見えるし、他方で息子や娘を習い事へ通わせるような家庭なら5万円は大したものではない可能性もある。
そのため、5万円という額の大小は本質的な論点ではない。つまり、考えるべきは田舎暮らしによってバイト生活でも「シンプルに5万円が家計から浮く」という事実を個々人がどう評価するかである。この点こそが、田舎への移住を見極めるポイントとなると私は捉えている。

真剣に考えれば、深刻な状況は回避できる。

実際、お金の問題はシビアで頭が痛くなるのだが、そういった難題だからこそ感情的に、また深刻に考えてはならないと私は思っている。
現状と理想とのギャップを数字や事実に基づいて把握する。すなわち、真剣にお金に向き合うことが大切なのではなかろうか。

実際、真剣に考えてもどうしようもない問題は、正直本当にどうにもならないことが多いように思う。そうしたときは、一か八かやるだけやってみるというのも一つ有用な方法だろう。

ただし、真剣にも考えてもいないのに一か八かに賭けようとするのは、個人的にはオススメしない。挑戦と言えば聞こえがいいが、それはもはやギャンブルでしかないからである。

そのギャンブルに負けたときの状況は、きっと深刻そのものだろう。
真剣に考えれば、深刻な状況は回避できる。

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私の場合、移住前の貯金100万円弱を農業の設備投資や古民家の回収で粗方使い切ってしまったのですが、移住前にしっかり貯金(たとえば3年くらいはとりあえず働かなくても食える額、おそらく300万円くらいか)ができていれば、もっと移住先での生活は楽になると思います。

★もし地方への移住、もっとも僻地への移住にご興味ある方がいれば、いつでもご一報くださいね


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