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学術・研究系オウンドメディアの課題を、”みんな”で解決する「フクロウナビ」プロジェクト開始!

ホトゼロでは、いろんな大学の学術・研究系の情報を発信するオウンドメディアの運営をパートナーとして協力させてもらっています。これら運営は楽しい業務なのですが、何年もやっているとジレンマというか、このメディア特有の弱みのようなものが見えてきて、これを何とかしたいと思い、「フクロウナビ」という新しい試みをはじめました。年末にこっそりスタートしたものの、年度末まで忙しくて白目を向いていたのですが、そろそろギアを上げていけそうなので、今回はこれについて取り上げようと思います。

学術・研究系オウンドメディアの記事を集めて伝え直す

ではまず「フクロウナビ」ってナニ?ってところなのですが、これはひとことで説明すると、大学が発信する学術・研究系のオウンドメディアの情報を集約して、さまざまな切り口で横断して紹介するナビサイトです。現状は、学問系統で再整理して発信することしかできていないのですが、今後はニーズ(興味分野)であったり、キーワードであったり、切り口をもっと増やしていきます。他にも、1テーマのもと複数の大学オウンドメディアの記事をピックアップして紹介する“まとめ記事”であったり、LINEによる情報発信なんかもやっていく予定です。

こういった機能については、拡充したときに再度お伝えしようと思っていて、今回、フォーカスしたいのは、なんでこういう取り組みをやろうと考えたのかという動機部分です。これについては、学術・研究系の大学オウンドメディアを運営するなかでいろいろと課題を感じていて、これらを解決するのにフクロウナビのアプローチなら上手くいくという確信があったから。それに、やったら絶対面白そうという、ワクワク感に抗えなかったからです。

ファンがつきにくいという、大学メディアの構造的な課題

どういう課題を感じていたのかというと、まず一つは、特定ジャンルを深掘りしにくいことです。つまりは、読者が自分の興味にドンピシャはまる記事を見つけたとして、同じような記事がまた読めるのは、だいたいの場合ずっと先になってしまうということ。言い方を変えると、ファンがつきにくい、ともいえます。

なぜそうなるのかというと、学術・研究系のメディアを積極的に運営するのは規模感のある総合大学が多いのですが、総合大学の場合、たとえば歴史の記事(文学部教員)を出したとしたら、次に太陽光電池の記事(工学部教員)、さらにその次はコロナの記事(医学部教員)といったように、一つの分野ばかりを出すことができず、次々と分野を変えてしまう(変えざるえない)。でも、読者からしたら、歴史の記事を読んでグッときたのに、待てど暮せど、同じような歴史の記事に巡り合えないわけで、それってやっぱりがっかりするし、メディアへの関心もなくしていくわけです。だけどそうはいっても、大学としては、特定の学部をえこひいきできないし、幅広く学部の魅力(=所属する教員の研究活動)をPRしたいからこそメディアを運営しているわけです。ここに、読者のニーズと大学の目的が根本的に相容れないところがあります。

さらに追い打ちをかけるようなことを書くと、こういったメディアの更新回数は月1~4本ぐらいです。記事の更新回数が多ければ、興味のない記事が多くても、興味がある記事にもある程度巡り合えます。でもこの更新回数だと、なかなかそれも難しいというのが実情なように思います。

広告との相性が悪い、大学の学術・研究系オウンドメディア

記事を定期的に配信するだけではファンがつきにくいのなら、広告の力を使って人を呼び込もうという発想も出てくるように思います。でも、ここにも課題があるんです。というのも、大学の学術・研究系オウンドメディアって、ターゲットを高校生・受験生に設定しない場合、“知的好奇心が高い社会人”みたいな、ふわっとしたターゲットになりがちなんですね。一つのジャンルを深掘りできないので、そうなるのはある意味では必然なのですが、じゃあ“知的好奇心が高い社会人”を広告で狙い撃ちできるかというと、これってものすごく難しいわけです。だって興味分野で絞りきれないし、知的好奇心が高い特定の世代なんてものもない。言わずもがな、エリアでも限定できません。なんとなくターゲット層がかぶっていそうなメディアに出稿するとか、WEB広告をばらまくとか、そういったアプローチになりがちで、効果的な打ち出しができません。

さらにWEB広告に関していうと、明確なコンバージョンが設定しにくいというのも弱みです。コンバージョンというのは、WEB広告におけるゴール設定で、たとえばイベント告知であれば申し込みのボタンを押す、何らかの売り込みであれば商品購入ボタンやお問い合わせボタンを押す、といった行為がそれにあたります。オウンドメディアの場合、記事を読んでもらうとか、メディアのファンになってもらうというのが目的になるのですが、これを測る明確な行為を設定するのは、めちゃくちゃ難しいです。そして、コンバージョンを上手く設定できないと、WEB広告は機械学習が進まないので、広告の精度があがっていきません。

課題を解決し、さらに大学の知を社会にもっと伝えるために

いろいろと書きましたが(といっても本当はもっとあるんですけど割愛しました)、つまりは、せっかく面白い記事をつくっても同ジャンルの記事を量産できないからファンができにくい、広告を打っても効果を出しにくいというのが、大学の学術・研究系オウンドメディアの泣きどころだといえます。この泣きどころを裏返してみると、同じジャンルの記事を頻繁に届けられたら、学術や研究に興味がある人がたくさんいる場所に広告を出せたら、問題が解決するともいえます。

フクロウナビは、この観点で生まれたナビサイトです。いち大学のメディアだけでは深掘りできなくても、たくさんの大学メディアが合わされば、同じジャンルの記事を頻繁に提供することができるので、読者は満足してくれるはず。また、心理学が好きな人、生物学が好きな人など、いろんな興味のある人がやって来るので、いち大学が提供する記事のジャンルがバラバラでも、その記事を読みたがっている人に、ちゃんと届けることができるようになります。でもって、いろんなジャンルの記事が蓄積していけば、次第に学術や研究に興味がある人が集まる場に育っていき、この場を利活用することで、より効率的に情報を届けられるようになるだろう。そんな考えのもと立ち上げました。

大学の学術・研究系オウンドメディアの尊いところは、他大学に先んじて受験生を獲得すること、ではなく、大学の知を社会に広く伝えることを主目的にしていることです。大学の知の開放が目的なのであれば、他大学はライバルではなく同志です。たくさんの大学を巻き込んで、大学業界として社会に学術や研究の魅力を届けていきたい、そういう活動をやれると、なんだかすごく楽しそうじゃないでしょうか。それに正直いって、大学が社会に向けて興味深いコンテンツをつくって発信していること自体、社会はあまり認知してないように思います。まずは、そもそもの理解を芽生えさせる必要があるのですが、これっていち大学でできることでは到底ないと思うのです。

さらに、フクロウナビでは記事のキュレーションだけでなく、それをきっかけに人的なつながり、つまり学術・研究系の情報発信を行っている人たちのコミュニティもつくっていこうと考えています(ホトゼロは、以前から大学広報をテーマにしたコミュニティづくりをやっています)。

大学オウンドメディアの泣きどころの解決策はこれ一択ではないのですが、面白そうで社会へのインパクトが大きいのは、このアプローチだ!と思うのです。ちなみに“大学の~”という書き方をしてきましたが、学術・研究に関わる情報を社会に発信する企業・公共の研究機関とも、ぜひ一緒にやりたいと考えています。

この取り組みは、いつかどこかでできたらいいなあ、ではなく、今まさに進めているプロジェクトです。今回のnoteを読んで少しでも興味を持っていただけた大学や企業・公共の研究機関の方がいらっしゃいましたら、下記までお気軽にお問い合わせください。ぜひぜひよろしくお願いします!

(株)hotozero お問い合わせ ▶ https://hotozero.co.jp/inquiry/


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