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教科書よりも寄生虫の駆除が学力アップにつながる!?

ICS(インターナショナル・クリスチャン・サポート)と呼ばれる慈善団体では、貧困国の就学率を高めるために、様々な活動に取り組んでいます。例えば、無料の制服や教科書の配布、教員の追加などです。

教科書プレゼント

貧困国では、教科書は一つのクラスに一つしかないほどに足りない状況です。そんな状況であれば、教科書を配ることは有効な案だと感じられます。

しかし調査の結果、成績上位の学生以外には、教科書の配布は全く学力の向上につながらなかったのです。

なぜでしょうか?これは意外な理由でした。

教科書が貧困国の子供にとって難しすぎたからです。しかも、現地の言葉ではなく英語で書かれていることの多い教科書は、現地の子供の学力では読むのが難しかったのです。

では、教師を増やすのはどうか?

では他の方法として、教員の数を増やしてみるのはどうか?一クラスの人数の多い貧困国の学校では、効果がありそうです。実際、一クラスの人数が多すぎると学力に差が出るという研究もあります。

しかしその結果はというと、目に見えるような効果は得られませんでした。

寄生虫の駆除

ここで目をつけたのが寄生虫です。先進国では駆除されているためあまり知られていませんが、全世界で10億人が腸内寄生虫に感染しています。腸内寄生虫を除去することで、免疫力を上げて学校に来させようという考えたのです。

その結果は、目覚ましいものでした。寄生虫の駆除によって長期欠席の日数が25%減り、治療した子供1人当たりで2週間多く学校に来ることができるようになりました。

さらに、マラリアや貧血などの発症を抑える効果があるため、労働時間も週に3.4時間多く働けるようになりました。これにより、収入は2割も多くなりました。

それだけではありません。コストパフォーマンスも著しかったのです。1000ドルにつき増加した就学年数は、送金で0.2年、奨学金で3年、制服で7年であるのに対し、寄生虫の駆除は139年です。従来の方法とは比べ物にならないほどの効果が得られたのです。

「駆虫は多分最も地味な開発計画でしょう」
グレース・ホリスター

寄生虫の駆除は華やかではありません。ただし、他の方法と比べて圧倒的な成果を出します。こんなイメージの罠は、日常にも潜んでいます。

華やかではないが、効果のある方法は世の中にたくさんあります。イメージだけで飛びつくのではなく、正しくデータを分析した上で対策を練る癖をつけましょう。

他にもイメージの罠に関する面白い記事を書いています。よければそちらもどうぞ。

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