『月と狼たち』~読まれない独り言
私が好きな手塚漫画はマイナーばかり、でも共通点があった
私は手塚治虫の作品のほとんどが好きなのですが、敢えて上位5位を挙げるとなると、以下のようになります。多分、作品自体を知らない人が多いと思います。。。
前々から、なんでこんなマイナーなものが好きなのかと思ったんですが、共通するのは、いずれも主人公に2つの共通点がありました。
主人公の価値観が世間の枠から外れている
主人公が、己の価値観が故に闘っている
簡単に、5位から2位までの主人公の説明
5位『マンションOBA』の主人公たち
平成狸合戦のような、現代社会に溶け込んだ妖怪たち。そもそも価値観は世間の枠の外。そして、妖怪として暮らせる故郷の復活のために、永遠の時間を武器として静かに闘います。
4位『シュマリ』の主人公
この主人公は『ゴールデンカムイ』の土方が95%、面白みを抜いた白石が5%くらいの人物といえば、おおむね予想がつくと思います。
3位『未来人カオス』の主人公
世間の枠から追い出され、挫折の中で、独自の価値観を形成します。そして、己なりの闘いを繰り広げます。
2位『百物語』の主人公
手塚版ファウストですが、ファウスト博士と異なり世間の価値観にとらわれておらず、それゆえにマルガレータとも早々に決別し、闘いの中で元の姿に戻ることもありません。
とまぁ、このような感じですね。
1位『月と狼たち』の主人公たち
リンク先に掲載されている1コマ目で、主人公たちは「圧倒的な心の自由さと、圧倒的に物質の不自由さに生きている存在」である事が表現されています。
そして彼らは、紆余曲折を経て、一度はエリート街道に足を踏み入れ、真逆の「心の自由の無い、圧倒的に物質に恵まれた存在」になります。
最終的には「圧倒的な心の自由さ」を選び、闘いらしい闘いもすることなく、次のステージに進んでいきます。
その次のステージは語られておらう、元のような存在に戻るのか、「自由な心と、恵まれた物質を兼ねた存在」になるのかは分かりません。
ともあれ、この主人公たちは、世間の枠の外というか、世間に染まらない
おそらく、同じ境遇になった、ほぼ全ての人間が心の自由を失い、自由意志のないままに命を落としているはずです。
ところが、どうしようもないまでの「自由な心」を持っていた彼らは、何一つ躊躇もせず、自由意志によって、自分の運命の決定権を取り戻します。
手塚作品の多くが、なにがしか世間に囚われ、その価値観の中で自己の”正しさ”(例:鉄腕アトム)、または”正しくなさ”(例:MW)に基礎を置くのですが、この5作品には、それが全くないのが特徴的で、故に私が好きなんだろうなと思う次第です。
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