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パッシブハウス認定(1) 「パッシブハウスとは」

この記事は注文住宅を建てるにあたって調べた情報をMemo的に書いているものです。


2023/02/09
「ざっくりのイメージ感」章に誤記がありましたので修正しました。
「一次エネルギー再生可能エネルギー(PER) の 生成(generation)と需要(demand)」がわかりやすくなるように少し追記をしました。


ここ数日で調べたことをまとめているだけなので、わかりにくい記述が多いです。すみません。
公式に日本語の説明を用意してほしい。。。


パッシブハウスとは

"A Passive House is a building, for which thermal comfort (ISO 7730) can be achieved solely by post-heating or post-cooling of the fresh air mass, which is required to achieve sufficient indoor air quality conditions – without the need for additional recirculation of air."
パッシブハウスとは良好な室内空気品質を達成するために必要な新鮮な空気を加熱または冷却するだけで快適性が実現できる建物です。

筆者理解。
人が生活していく上で室内の空気をよい状態に保つためには一定の換気(外気の導入)が必要になりますが、パッシブハウスが実現したい理想はこの換気される空気に相当する量だけを加熱・冷却することで冷暖房を実現することです。

システムメーカー的に言うと、換気システムと空調システムを一つにしたシステムが必要最低限の換気量だけを提供するだけで冷暖房できてしまうお家です。例えば換気量を増やして冷暖房を強化したり、冷暖房設備を追加で装備する必要がないレベルの住宅性能となっているということです。
コンセプト的には日射取得に頼らなくてもパッシブハウスが実現できるというお話になっているのではないかと思います。


パッシブハウスの要件

主な要件は以下の項目になります。これは後述するクラス(Classic, Plus, Premium)によって更に厳しい値になる場合もあります。

  • 年間暖房負荷 15[kWh/(m²・年)]

  • 換気率 n50 = 0.6/h

  • 一次エネルギー使用量 120 kWh/(m²・年)

  • 一次エネルギー再生可能エネルギー(PER) の 生成と需要


年間暖房負荷 15[kWh/(m²・年)]

パッシブハウスの要件として、年間暖房負荷は 15 [kWh/(m²・年)] と定義されています。これは延床面積1m²あたりの年間暖房負荷が15 [kWh/年]でなければならないことを示しています。

(例) 延床面積100m²の家を想定すると、年間暖房負荷は1,500[kWh/年]となります。通常使用されるエアコンであれば消費電力の3倍以上は暖房力に変換できるため、消費電力は500[kWh/年]以下となり、電気料金 40円/kWhと想定すると、暖房に必要なコストは年間2万円以下となります。

どのように計算されてこの値となっているかを以下に記載します。

  • 1人あたりの必要な供給量: 30[m³/時間]) 

  • 空気の最大加熱量: 50°C まで
    * 空気中に含まれる粉塵の焦げ付きを避けるため

  • 空気の比熱容量: 0.33 [Wh/(m³K) ]

  • 人が生活する快適な室温: 21℃
    * 裏取りしていませんが、ISO7730で規定されているとのこと。
    * 筆者注: 地域によって異なる可能性があるのでは、と感じましたが、ISO内でどのように定義されているかは不明。

  • 1人あたりの生活空間(床面積): 30 [m²]

外気導入による最大暖房エネルギー供給可能量
300 [W/人]
= 30 [m³/hour・人] * 0.33 [Wh/(m³K)] * (50-20) [K]
* 筆者注: ここまでの説明だと(50-21)[K]になりそうな気がするが、なぜ(50-20)[K]になるのかは不明。

延床面積あたりの最大暖房負荷
10 [W/m²] = 300[W/人] / 30[m²/人]

これが15kWhになるためには1500時間を乗算する必要があるのですが、この値の根拠がPASSIPEDIAのどこにも書いていませんでした。根拠不明。
ただ最近Twitterに以下の投稿があり、確かにこの辺りの数字という認識で問題なさそうな気がしています。


換気率 n50 = 0.6/h

これはC値でいうところの0.3程度を示すようです。
計算式は・・・時間があったら調べます。


一次エネルギー使用量 120 kWh/(m²・年)

一次エネルギー(PE)使用量[kWh/(m2・年)] とは 前述の年間暖房負荷に加えて、年間冷房負荷、さらに家電のエネルギー使用量を加算したものです。
雑に言ってしまえば、その住宅で使用される総エネルギー使用量になります。
* 公式ページでの単位表記は kWh/(m²a) となっていますが、 kWh/(m²・年) を示しているようです。また同じような表記として、kWh/(m²yr)が用いられていることもあります。

PASSIPEDIAに画像があったのて貼っておきますが、食洗機、洗濯機、ドライヤー、冷蔵冷凍庫、IH調理器、オーブン、照明、TV、パソコン、モニタ、ノートPC、コーヒーメーカー等、大体の家電は計算対象になっていそうです。
細かいー!!!

https://passipedia.org/basics/passive_house_-_assuring_a_sustainable_energy_supply/efficiency_of_household_appliances_and_their_impact_on_the_primary_energy_demand_of_residential_buildings


一次エネルギー再生可能エネルギー(PER) の 生成(generation)と需要(demand)

再生可能一次エネルギー (PER: Primary Energy Renewable) は、太陽光発電システム/風力タービンによって生成された電力、または太陽熱システムによって生成された熱を用いたエネルギーのことです。

PER generation [kWh/(m²ground・年)] は住宅に設置された発電システムによって生成されるエネルギーを示しており、建築面積あたりの生成エネルギー量で示されます。
年間暖房負荷や一時エネルギー使用量は延床面積ベースで計算されています。建築面積あたりという単位を用いているのは、複数の階層を持つ建物は建築面積分にしか太陽光発電システムを設置できないため、もし延床面積ベースとした場合、よりエネルギー効率の低い平屋が不適切に優遇されてしまうからです。

PER demand [kWh/(m²TFA・年)] は住宅で利用される各種エネルギーを貯蔵損失を含む必要な再生可能エネルギーの量で表したものです。
* TFA: Treated Floor Area (処理床面積)
 計算対象の空間のことを示す。細かい仕様は不明。

PER demandはいくつかの係数を組み合わせて計算されます。これには建物の最終的なエネルギー需要 (配電と貯蔵の損失を含む) をカバーするために必要な主要な再生可能資源を反映しています。
PER 係数が 1.5 の場合、建物の最終エネルギー需要を満たすには 50% の再生可能一次エネルギーの余剰が必要です。PER 係数が高いほど、必要なリソースが高くなるため、再生不可能な資源からの補償を回避するために効率化対策を実施することがより重要になります。

https://www.slideshare.net/harrmann/the-new-phpp-version-9-project-specific-cause-effect


PHPP(Passive House用の計算ソフト)の最新バージョンはv10だったと思うので一つ前の情報となってしまうのですが、比較的わかりやすかったので添付しておきます。

PER factorは値が高ければ高いほど効率が悪いという係数です。電力を利用した冷暖房は比較的良い係数が設定されていることがわかります。なお、この係数は地域によって異なります。

PERの計算時の係数

具体的なプロジェクトの例です。

HeatPumpを適用することでPER-demandの大幅な改善を実現しています。
また、大型の太陽光発電システムを導入することで PER supplyを大幅に改善しています。ここで明確になっているのは太陽光発電システムを導入しても改善されるのは PER supplyだけで、PER demandには何も影響しないということです。

(Solar=太陽熱利用システム、PV=太陽光発電システム)


パッシブハウスの性能のクラス分け

パッシブハウスの認定クラスとして3つのクラスがあります。

  • Passive House Classic

  • Passive House Plus

  • Passive House Premium

ざっくりのイメージ感

神奈川県・横浜地域、延床面積30坪(100m2)・総2階の建物・40円/kWh計算で考えるとこんなもんかなという、ざっくりのイメージ感を書いてみます。PERの使い方間違っているので本当に適当です。実務者でも専門家でもない素人なので信じないでください
Premiumは中々狭き門な気がしますね。載せないといけない太陽光発電システムの容量が本当に屋根に載るのか怪しいレベルです。

  • Passive House Classic
    平均電気代 1.5万円/月くらい

    • PER demand = 6,000 kWh/年 = 500 kWh/月 = 2万円/月
      PER factorを考慮して電気代 1.0~1.5万円/月 1.5万円/月くらいのイメージ

  • Passive House Plus
    平均電気代 1.1万円/月くらい、太陽光発電システム 3.5 2.7kW以上

    • PER demand = 4,500 kWh/年 = 375 kWh/月 = 1.5万円/月
      PER factorを考慮して電気代 1.0~1.5万円/月 1.1万円/月くらいのイメージ

    • PER supply = 3,000 kWh/年
      3.5 2.7kW以上載せる必要がある

  • Passive House Premium
    平均電気代 7500円/月くらい、太陽光発電システム 7.0 5.3kW以上

    • PER demand = 3,000 kWh/年 = 250 kWh/月 = 1万円/月
      PER factorを考慮して電気代 7,500円/月くらいのイメージ

    • PER supply = 6,000 kWh/年
      7.0 5.3kW以上載せる必要がある



資料



見出し写真はUnsplashStephan Bechertが撮影した写真


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