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会社に見切りをつけるZ世代。組織の中で何が起きているのか?

早期退職には組織内に潜む
ある原因が元で発生している

最近、静かな退職早期退職の話題から
企業の組織論について強く興味を抱き、
元々あった知見と照合しながら、
原因となる理論を探していました。

↓ 過去の記事はこちら ↓

その中で特に面白かった動画があり
以下にリンク先をご紹介させて頂きます。

様々な学術論文から、一般的に分かり易い理論へ
昇華されている素晴らしい内容だと感じ、
大半はその通りだと首を縦に振るばかりでした。

今回はこちらの動画を元に
早期退職のメカニズムについて
そして、
採用担当者として気を付けるべき点
について解説します。

ちょっと長いですが、
ぜひ最後まで読んでください。


1.若者は何を恐れているのか?


まず、若手社員の早期離職の背景として、
「なるべく早期にキャリアを形成したい」
そんなZ世代の心理にあるとされています。

なぜ、そのような心理になるのか?

それは以前からご紹介している通り
終身雇用年功序列の崩壊があります。

年収アップをするには出世するか、
転職でポジションを勝ち取らないと
獲得できない事情が影響します。

早く活躍できる人材にならないといけない!

そんな強迫観念ともいえる危機感から、
高学歴でやりたいことが決なければ、
とりあえずコンサル会社へ就職する…
これも早期にスキルを獲得出来ると考えて
企業選びをした結果だと思います。

特に高学歴でもなければ、
やりたいことがないという人は
安定志向している業界に走るか、
伸びている業界へ殺到する
そのような傾向が強く感じます。

まさに「勝ち馬に乗りたい」という
心理が働いていると言ってよいでしょう。

次に、

入社してすぐ退職するといったように
「見切り」がとても早い点も
大きな特徴として挙げられます。

これに対して、企業側が考える
キャリア形成のイメージといえば、
10年単位でマネジメント層へ育てる
が多く、ここにギャップが生まれています。

「この会社にいて本当に大丈夫だろうか?」

新入社員たちは「不安」に陥るのです。

人事担当者からすれば、
「何も分からない新人が何を言ってるんだ?」
と不思議な気分になるでしょう。

だからと言って、
逆に早期活躍を誇張した場合、
どうなると思いますか?

「当社は3年でマネージャーになれます!」

と言ってしまったら…
ブラック企業ではないか?
中間管理職が辞めてしまったのでは?
と警戒されてしまうのがオチです。


2.「言っても無駄」「居ても無駄」という概念


冒頭の動画で語られている理論ですが、
元DeNA人材育成責任者の坂井風太氏が
提唱されており、私の見解も織り交ぜて
解説させていただきます。

早期退職の原因として
以下の二つの組織があります。

A:「言っても無駄」な組織
B:「居ても無駄」な組織

まず、Aの「言っても無駄」は
前例主義に囚われた硬直した組織
起きやすい現象ですが、
何を提案しても通らない上司ばかりが
いる会社のことです。

「上司である自分の方が優秀である」

そういった考えの元、仮に良い提案でも
生存者バイアスが働いてしまい、
出る杭を打ち、従わせるという行動に
出てしまう点が特徴です。

この組織の行き着く先は、
言っても無駄」と感じた社員は退職し、
逆に鼻をへし折られて従順になった人
逆らっても無駄と諦めた人)
だけが残ってしまう組織になります。

次に、Bの「居ても無駄」は
先程ご説明した

「ここにいて本当に大丈夫だろうか?」

と感じさせてしまう組織であり、
上司も優しくパワハラは存在しない
常に部下に気をかけてくれて
居心地はとても良い会社です。

しかし、この環境を見た新入社員は
ワークライフバランスの整った会社
=ぬるま湯のような会社)
にいて、自分は本当に大丈夫か?
と悩むようになってしまうのです。

こちらの事象が近年、
大企業の中で急増しています。

Z世代にとっては
硬直した組織はもちろんのこと
成長実感が伴わない会社もNG
となってしまうようです。

私と同じロスジェネ世代だったら、
「居心地よくて最高!」
となると思うのですが、
今の世代はそうではないのです。


3.「居ても無駄」な組織が生まれた背景


このような会社が生まれた背景として
以下の3点が原因と言われています。

①働き方改革関連法案
②パワハラ防止法
③心理的安全性の間違った解釈

大手企業を中心に、急速にホワイト化が
進んでいる理由は言うまでもなく、
①働き方改革関連法案が原因です。

特に今年は2024年問題として
トラックドライバーの年間労働時間の制限
が話題になりました。

また、休日数もとても大切で
カレンダーの赤日をすべて合わせると
120日となるため、一般的にこの日数が
ボーダーラインと言われています。

しかし、近年では年間休日が
125日や130日超えの企業も出てきました。

昭和のモーレツに働く考え方から脱却し、
働きやすさ」を整備している企業は
大企業を中心に当たり前になってきた
と言ってよいと思います。

次に、上司と部下の関係においても
行き過ぎた指導に対しては
法律による規制が入りました。

労働施策の総合的な推進並びに
労働者の雇用の安定及び職業生活の
充実等に関する法律

通称、②パワハラ防止法の施行です。

この法律を皮切りに、
ある理論が注目を浴びました。

それが、③心理的安全性の概念です。

この考え方に
本来は上記のような「ぬるま湯」の組織を
肯定しているはずがなのですが…

なぜ、この概念が誤解され、
上司も、部下も自分を守るための
言い訳をし始めたのか?
とても疑問に思います。


4.採用担当者が注意するべきこと


ここまでが早期離職がおきる
メカニズムとして、組織内で何が起きて
そうなってしまうのか解説しました。

では、ここからは
採用コンサルタントとして
何に注意が必要なのか?

採用の視点で解説していきます。


①過剰なPRは避けるべき?

自社の社員は優秀な人ばかりです!
働きやすい環境が整っています!

これをあまり、メディアに向かって
強く発信すると実態との乖離から
組織の内部の反感と
勝ち馬に乗りたい人」ばかりが
集まってくるという話があります。

この部分に関しては同意ですが、
実態と乖離していることが問題」
であって、実態に即した内容を
ポジティブな視点で発信することは
問題ないというのが私の持論です。

その時に「勝ち馬に乗りたい人」が
集まってくると言いますが、
それが本当に悪いことなのか?
考えてみて欲しいのです。

自社の求める素養があるか否か?
これをスクリーニングするのが
適性検査であり、採用面接なのです。

理由はどうあれ、
自社の求める素養がある人材
ミスマッチなく採用すること
採用担当者の使命と心得てください。

PRは誇張してはいけませんが、
強度の問題ではないという点は
強く主張したいと思います。


②WILL「やりたいこと」を訴求せよ!

キャリアデザインを語る上で
よく登場する理論を紹介します。

WILL  やりたいこと
CAN     できること
MUST   やるべきこと

マズローの5大欲求説(※1)に照らすと
WILL「やりたいこと」は上位の概念
になり、組織論で言わせてもらえば
WILLは排除した方が上手く回るという
側面があるのは確かです。

極論、軍隊のように
ルールで縛り、上司は畏怖する存在で、
彼らの評価を得られるようルールを守る…

組織としてはきちんと成立しています。

つまり、個人の「やりたいこと」は
何も叶えられない組織であっても
CAN「できること」
MUST「やるべきこと」

を発揮していれば評価されるのです。

評価されて昇進することにより
一定の権限を与えられて、
自らの成長を実感できます。
さらに待遇もUPで家族も満足です。

しかし、労働者人口が減少している
現代の採用戦略として言わせると、
WILL「やりたいこと」が訴求されない
と人は集まってこないのです。

組織に属するということは
一定のルールの中に身を置くことです。

その中の許された範囲内においてのみ
いかに自己実現ができるか?
これが理であることに疑いはありません。

しかし、先程の章で説明した
働きやすさ」だけで人は集まりません。
働きがい」=WILL「やりたいこと」
を訴求しないと人は集まらないのです。

※1 マズローの欲求5段階説
 人は自己実現に向かって絶えず成長する
 という仮定の下、人間の欲求を5つの段階
 に分けた理論のこと。


③WILL=ミッションやビジョンとは限らない

WILLは企業の「ビジョン」だと言いますが
私はそれだけで十分だとは思いません。

それは先程から説明している通り、
「勝ち馬に乗りたい人」が集まる所からも
大企業やメガベンチャーの次の段階において
「ビジョン」だけでは弱いと言わざるを得ません。

名前を聞いただけで、何の企業か認知があり、
入社したい企業がどのくらいあるでしょうか?

既にブランディングが確立した企業であり、
例えば、スターバックスのように
広告をしなくても人が集まる企業は
これに該当します。

しかし、
大半の企業には当てはまらないため、
もっと丁寧な説明が求められるのです。

私たちのビジョンに共感し
一緒に働きたい人を募集しています。

当社では、〇〇をしたい人を募集しており
次のようなことが実現できます。
・WILL①
・WILL②
・WILL③

ここまで言って、
初めてミッションやビジョンに
共感が集まるのです。

それでは、WILLを訴求した場合、
逆に「やりたいこと」しかせず
ルールを守らないような人を
採用してはいけません。

そのような人の見極めは
どうしたら良いでしょうか?


そうですね。
スクリーニングすることです。

では、スクリーニングする情報を
端的に表したスローガンとは何でしょうか?


これこそが「バリュー」なのです。

MVVの概念は以下の通りです。
採用の場面で良く出てきますので
覚えておいてください。

M(ミッション):組織・会社の使命
V(ビジョン):理想の組織像・会社像
V(バリュー):組織の価値観・価値基準

バリューは創業から受け継がれた精神で
そう簡単に変わらないものです。
この精神に共感できない人は
同じ船(会社)へ乗船してはならないのです。


如何だったでしょうか?

今回は少し難しかったかもしれません。

採用ブランディングについて
理解していないと伝わらない部分も
多かったため、今話題の動画から
私の考えをお話させていただきました。

この先、採用ブランディングに関する
話題も深く掘り下げて解説しますので
ご期待ください。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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