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短歌連作「誰もがながい夢を見ている」 14首

見ていられない現実があるために誰もがながい夢を見ている


多面体としての他者に着かぬまま脳の迷路を点から点へ


虹ですら赤のほかには見もしない人が見上げる真っ赤な空だ


現実と願望をすり替えたのだ無人の街の怒れる怪盗


話し合うほどに濃霧につつまれて果ては虚空と怒鳴り合ってる



絶滅のケモノの角はアクリルのなかで戦のゆめを見ている


強くなく美しくなく正しくもないケモノらは都市を創った


ビルというアリの巣穴に類似した建築をするサルもいたとか



地球人ごっこをしてる 詩を綴るときにするっと自分に戻る


発泡酒片手に聴いたヒップホップ 夜は堰を切るイーハトーブ


どの星のどの生き物が描く僕も一枚の絵で一つの見方


僕の描く絵の中にいる描く僕を肖像としてぎゅっと抱える


暗い谷飛び越えてゆけ武装した紙ヒコーキとしての短歌よ


(ゆめをみるじゃまをされたくなかったらじゃましないでね)(ぜったいにだよ)



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