見出し画像

ヴィッセル神戸が目指すべき先〜サッカーの神戸化〜

ヴィッセル神戸の問題については過去2回、こんなnoteを投稿しました。

何のための「バルサ化」か
https://note.mu/hrsgmb/n/n1913155c8e27
ガバナンスの欠如したヴィッセル神戸のチーム状態が心配
https://note.mu/hrsgmb/n/n1f2dcdd45fbc

先に投稿した方では、「バルサ化」を目指す理由の曖昧さと不可能さについてと、そして後の方ではリージョ監督退任後にポドルスキの問題行動などによりチーム内がグチャグチャになっているのではないかという指摘をしました。

その後、ヴィッセル神戸は公式戦で引き分け無しの9連敗という結果に見舞われています。悪い予想が当たったとか喜ぶつもりはありませんが、明らかに問題があるチーム状態を放置し続けるクラブ首脳陣にはそれ以外のクラブ内外の人達からも呆れた目を持ってみられているのではないでしょうか。

連敗が続く中でも、

ポドルスキ、発熱欠場翌日「神戸まつり」へ あきれた“お祭り男”
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190521-00000002-spnannex-socc

こういったニュースが出るくらいですから、チームとして一つにまとまっていないことは確かでしょう。体調が回復しているのであれば、そしてクラブから休養を与えられているのであればどこに行こうが何をしようが勝手でしょうが、こんなことをバルサの象徴でもあるグアルディオラだったら許すんですかね。さらにもっと前にバルサを率いていたファン・ハールみたいな監督だったら顔を真っ赤にしてエキセントリックに罵って二度と試合に出さないような仕打ちをすると思うんですが。

欠場が続くイニエスタにしろ、もはやモチベーションを失っているようなポドルスキにしろ、負け続けても監督をせざるを得ない吉田監督にしろ、何も変えようとしない三浦SDにしろ、みんな「バルサ化」を旗印というよりも免罪符にして現状の問題点を無視しているような気がしてしまいます。

結局のところ、「バルサ化」が本当に実現可能なのか、実現するのに必要な行動を取っているのか、そしてそもそも必要なのか、ということを改めて考え直すべきなのではないでしょうか。


バルサのことを知っている人を連れてきただけで「バルサ化」が出来るわけはないですし、それでJリーグで勝っていけるわけでもありません。

私個人は基本的にガンバ大阪の試合ばかり見ていますが、最近ではDAZN、少し前はスカパー!で他クラブの試合もちょくちょく見ます。そうした中で、Jリーグは長期的にはずっとレベルが上がり続けています。それは一番上のJ1だけではなく、J2もJ3も同じです。特出して強いクラブがないのは他国リーグとの明確な違いですが、全体的なレベルは向上し続けていると思います。

過去のビッグネームを連れてきただけで簡単に活躍したりチームが勝ったりするリーグではありません。それは2014年にディエゴ・フォルランを獲得しながらJ2に降格したセレッソ大阪や、ワシントンを擁しながら同じく降格した2005年の東京ヴェルディなど、いくつも例を挙げられます。フェルナンド・トーレスがいる今のサガン鳥栖も同じですね(最近連勝してきましたが)。

三木谷氏が経営難のヴィッセル神戸の救世主となってすぐにトルコ代表のイルハンを連れてきたものの全く活躍できなかったころから、ヴィッセル神戸の根本は単にお金のかけ方が増えただけであまり変わっていないのかも知れません。

前述のようにJリーグは向上し続けています。ただ単にチームの中心選手だけを強化するだけでは勝てなくなっています。クラブの総合力が問われるようになっていて、それは資金面や監督・選手の質や量だけの問題ではありません。クラブの地域密着度合いや広報の能力、営業戦略やスタジアム・クラブハウス・練習場の整備、サポーターとの連携、クラブの歴史を貫く哲学などをおろそかにせず、クラブ全体を総合的に大きく強くしていこうとしているチームが勝つリーグになりつつあります。

過去2シーズンを、地域密着や広報面での行動力がある川崎フロンターレが連覇したのは偶然ではないですし、風間サッカーから鬼木サッカーへの引き継ぎが上手く出来たからだけではないと思っています。

そういった点から見ると、今のヴィッセル神戸はまだまだ強くなるには足りない部分が多いのではないでしょうか。何より「ヴィッセル神戸とは何か」という命題に答えを持っていない気がします。バルサみたいなサッカーをしたいと思うのは結構ですが、それなら三木谷氏はたくさんお金を稼いでFCバルセロナを買収すればいい話です。実際にはソシオ制度があるので絶対買収なんて出来ないでしょうけど。

バルサがバルサたり得るのは、それこそ少なくともフランコ独裁やスペイン内戦時代にさかのぼって考えないといけないですし、現在におけるバスク地方の人々の中央政府への反発心も理解しないとバルサを理解出来ないと思います。はっきり言うと、ヴィッセル神戸の「バルサ化」は不可能です。

さて、バルサ化が出来なかったら次はどうするのでしょうか。レアル化でしょうか、バイエルン化でしょうか、チェルシー化でしょうか。どれも借り物にしかなり得ませんし、多分どれも成功できないでしょう。

かつてイビチャ・オシムが2006年に日本代表監督に就任したときに、「日本サッカーの日本化」を掲げました。その後の日本代表と日本サッカーの歩みが「日本サッカーの日本化」に向けて進んでいるかどうか判断が難しいところですが、大当たりも大外れもしていないとは思います。目標を達成するのも目標を掲げるのも簡単なことではありません。ヴィッセル神戸というクラブは、何のために存在しているのか、どういうサッカーを通して自己実現を果たすのか。まず整理すべきなのはこの点でしょう。ここを進めない限り、ヴィッセル神戸はこれまでと変わらないのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?