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壊れた鏡の破片を拾い集める日々⑤(全5話)

友達…?

小学6年生くらいの頃かな。
はっきり覚えている年齢だったはずなのに、よく思い出せないのだけど

夜に男の人の車に乗って、一緒にバーミヤンにご飯を食べに行ったよね。
車の運転が上手な人に惹かれるって言いながら。
その人と何の話をしたかは全く覚えていないけど、人見知り絶頂期だったから、ほとんど何も話さなかったのかな…。
私のことは、よく聞いているよみたいな感じで色々と話しかけてきた気がするけど、威嚇する態度で、懐かないオーラを出していた気がするよ。

まだ折りたたみでもなかったガラケーで、その人と頻繁にメールのやり取りをしていたよね。
見ようと思って見たわけじゃないけど、見えちゃったんだよね。
下の名前で呼んでいたよね。

その日だったのか、別の日だったのか…。
カラオケにも行ったよね。
その人はテレサ・テンを歌っていたよね。
カラオケの室内では、その人の手がお母さんの腕に触れていたよね。

でもさ、その人には彼女がいるって言っていたんだよね。
彼女に手作りのアクセサリーを送るから、私がハマっていたビーズアクセサリーを一緒に作ろうって。
だから、何か、親密な友達なんだなって思って、それ以上は考えないようにしていたよ…。

家にも行ったよね、猫のいる家。
おばあちゃんも知っている人で、おばあちゃんから、何でその男の人とそんなに仲良くしているのか、問われていたよね。

それは本当に短い一時期だけで終わって、後日、年賀状でご結婚された写真を見たよ。

あれは、一体何だったの…。
とっても嫌な記憶です。

何が嫌だったのだろう?
コソコソしてたから?
正直に話してくれたら?
相手が特に素敵な人でも何でもなかったから?

今なら、少しはそういうこともないと
結婚生活やっていけないものなのかもな
なんて思うけど
巻き込まれた多感な時期の子どもは
本当に迷惑です…
今までずっと誰にも言えずにもやもやしていました。
マンガとかでは、よく読むけど
みんな言わないだけで、そういう経験あるものなのかな…
私の母親像の理想が高過ぎるだけで
母親も人だし、女だから
女の部分なんて見たくないよって思っても
10数年間、一度も見せずにっていうのは難しくて、見えてしまう時があるのは仕方のないことなのかな…

何で私は母親とさえも、まともなコミュニケーションがとれないのだろう…

教えてくれたこと

私は父親から怒られたことは一度もなくて
いつも母親が叱る役をしてくれていました。
毎日色々なことを口うるさく注意されて
ご飯をこぼしたり、忘れ物をしたりすると
「お馬鹿さん」だと、よく言われていました。
今も私は、本当にお馬鹿さんだなぁって、もう刷り込まれてずっとそう思っています。
特に悪いことをした日には、寝る前に布団の中で諭されました。
一番覚えているのは、お金の使い方について。
もらったお年玉をゲームセンターで一度にたくさん使ってしまった時に
みんなが一生懸命に働いて稼いだお金なんだよって。
そうやって大事なことをちゃんと伝えてくれたことには感謝してます。

でも、もらったお金の使い方は自由だし、母親が具合が悪いから、仕方なく遊び方の分からない父親がゲームセンターに連れて行って子守りしていた結果じゃんって思っていたよ。

じゃぁ何にどう使えば納得するのか、答えは教えてくれなくて、何を買ってもいつも無駄遣いだって言ったよね。

お買い物に行けて、素敵な買い物ができて良かった!っていう気持ちで帰っても、いつも否定されて、悲しい気持ちでした。

私についている呪い

私は母とは全く違う人間なのに、全てにおいて、母のようになっていくのが恐い…。
母と同じうつ病になってしまうと思って、なかなか精神科の受診もできなかった。
夫から嫌なことを言われた、された時に、感情の処理が上手くできなくて、泣きそうになってしまう自分が嫌い。
これでは大嫌いな母と同じになってしまう。
私の嫌いな私になりたくない…。

エピローグ

割れても割れてもまだ光を映せるのではないかと、ずっと淡い期待をしてしまった。
けど、ここにもう鏡はない。
ちゃんと壊して、ちゃんと捨てよう。
私はあなたではないし、あなたは私ではない。あなたにはならない。
ちゃんと横に並んだ別々の私とあなたを映しだせる鏡を置こう。
いつか…本当は少しでも早く向き合わないと、そんなに長い時間は残されていないかもしれないけど、でもまだ難しそうだから、いつかきっと…二人ともが心からの笑顔で映れますように…。

あとがき

嫌だったことと、良かったことを書こうと思いながら、結局嫌だったことになってしまいました。
大きな嫌だったこと2つは、前回と今回で書き終わりました。
これで少しは私の中のインナーチャイルドは癒やす方向に向かえたのでしょうか…?
この流れは一旦終わりです。
また子どもと過ごす中で毒親エピソードが出てきたり、忘れていたことを思い出したり、カウンセリングを受ける中でリフレーミングされたりしたら、それを書くかもしれません。
最近なぜか頼んでいないのに月に数回来る母…会うとどうしても感情が揺さぶられてしまいます…あまりに境界を越えてくるようなら、はっきり言わないといけないけど、なかなか衝突するエネルギーはなくて、ちょっとの我慢をしてしまいます…。

誰にも話せなかった辛かったことを
読んでくれて、知ってくれて、ありがとう。
あなたの話も聴くからね…。

同じ様な気持ちを抱える人、
もっともっと辛い想いを持つ人、
ほんの僅かな何かの力になんてなったら
良いなぁと思います。

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