見出し画像

「二人の思い出に」 本多裕樹 詩

「二人の思い出に」





あるは夢か

時に終わる夢か

そは何をもって幻想か


初めに終わり

終わりにすべては新しい

時の終わりもまた幸いか


死は終わりか

死はあの世でのはじまりだ

時の終わりもまた幸いか


静寂に消えるわれ

何者でない存在

人格すら忘れられる


日々の終わりをお前に教えた

その日には全て溶け

一つの意識に納められる


消えゆく魂

消えない意識、

どこかで、記憶は残っていて


お前のことを思い出し

また、大道の中で会いもしよう

ただ、君は私を嫌いになろう


私の思うことは業に満ち満ちて

君を汚しもしよう

しからば、幻滅もあるし、


ただ、幻の夢であったほうが幸福だ

君に伝えたいことも

現世では一言も言わなかった


年老いていたし

恋愛するエネルギーも無かった

終わった精神で僕は生きていた



恋愛は

若い人に与えられた

天の恵である


その日の会っていたのなら

無謀にも

好きと言ったであろう


恋愛は

愚かな人にふさわしい

頭がおかしくならないと無理な事だ


あの時は本当に楽しかったのだ

君と過ごした日に乾杯

そして、しばらくすると恋愛は消えていく


結婚もすれば

もはや、

努力して好きにならないと難しい


恋愛は努力になり

結婚も努力だ

老いては支え合う


そうして、

お互いに生きて

死んでいく


残るは思い出

残るは過去

残るものも消える


儚く

生き生きと

鮮明なまま消えていく



ただ、二人が生きた

思い出は

二人の宝物になって天の星となって流れ消える




令和5年8月25日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?