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思い込みを疑いながら、思い込みを外していくためにも、相手に耳を傾けたい! 【Humanize Voice ~ よしつぐの独り言…】

 サービスを向上させるために、「顧客に満足・感動を与えることが必要だ」とよく言われます。
 顧客のことを考え、満足・感動を与えることは大切なことですが、少し否定的な見方をすると、満足・感動はサービスの受け手が“する”もので、サービスを提供する側(送り手)が“させる”ものではないように思われます。
 提供する側(送り手)の意図が強すぎると、顧客(受け手)側の気持ちと離れてしまい、本来提供したかったものと実態がかけ離れてしまうこともあります。

 例えば、ある顧客に評判の良かったサービスを、違う顧客へと水平展開するケースがよくあります。
 顧客の持つニーズが同質であれば、水平展開も可能ですが、ニーズが異質の顧客に同様のサービスを提供しても相手は満足しないことが予想されます。
 「(顧客不在で)満足・感動を与えることに一生懸命になること」と「ひとりひとり、ひとつひとつの“個”客に満足・感動を与える」ことを混同すると危険です。

 研修の現場でもよくあることですが、評判の良かった内容を他の職場や他のメンバーに共有する方法がとられることがあります。
 ねらいとしては悪くないのですが、サービスの事例(型)だけが共有されて、なぜそのサービスが喜ばれたかという理由や背景が置き去りにされていることも少なくありません。
 真に共有したいのは、喜ばれた理由や背景ですが、形・型だけが先行して共有されることはよくあることです。
 形や型は見えやすい、わかりやすい、伝えやすい(伝わりやすい)のですが、幹となるべき理由や背景を理解できていなければ、違う場面で活用しようと思っても、応用が効かないのは言うまでもありません。

 VUCAと言われる中で、顧客を取り巻く環境も刻々とダイナミックに変化し続けています。
 都度都度、顧客の立場・状況・場面に立ち戻って考え、行動しなければ、独りよがりなサービスとなる可能性も高まっています。
 「満足・感動を与えたい!」と考えて行ったことが、返ってサービスの悪い企業・組織として烙印を押されてしまうことも起こりえます。

 思い込みを疑いながら、思い込みを外していくためにも、改めて相手の表情や声に耳を傾けたいですね。

<ヒューマナイズ通信 2023.10.04掲載 一部修正>
 https://humanize.co.jp/

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