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おばあちゃんとアーモンドチョコレート

おばあちゃんと居るのが 大好きだった

なんでも話を聞いてくれた 答えてくれた 

勉強して偉い人になるんだよ なんて言わなかった 

小さな怪我でも心配して 薬を塗ってくれた 



そんな優しい おばあちゃん・・・



時折 

ポケットから チョコレートをくれた

少し溶けていても おばあちゃんは笑っていた 

私も笑って食べた 包装紙も舐めて また笑った



特別に 美味しかった・・・



おばあちゃんが大好きだったのは アーモンド

丈夫な歯で モグモグ モグモグ 食べていた


一度 

ポケットからこぼれる アーモンドを見つけて 

おばあちゃんに 「はいっ」て返した。 すると 

「食べていいよ」て言ったので 頷いて食べたが

子供の私には アーモンドはあまり美味しくはなかった


おばあちゃんは「体にいいんだよっ」て笑って言ったが 

子供ながらに もっと美味しいものを 食べてほしいと思った・・・



(数十年の時が経ち・・・)



夕暮れ 


一人 川沿いの土手に座り せせらぎの音を聞いている

時間が音を奏でるなら この音だとつくづく思う・・・



時間が戻る事は決してないが 口の中で砕け溶けていく 

アーモンドチョコレートが 遠い記憶を噛み砕き 

おばあちゃんとの思い出を 私の心に溶かしていく・・・



ああ 

あの温もりが 懐かしい・・・ 恋しい・・



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