ショートエッセイ:きれいな文章にするために校正は大切!
はじめに
最近よく「読みやすい」「文章が綺麗」と言っていただけます。本当にありがたいことです。私はいわゆる美文が書けるタイプではないですが、整った、伝わりやすい文章は書けるようになったのだろうと感じています。
それなら、自分なりに文章を読みやすくきれいにする方法を伝えられたら参考になる方もいるかもしれないと思いました。また、単純に人が文章をどう書いているかを知るのは楽しいことでしょう。そこで文章を整えるにあたり本当に大切な「校正」を、実際の校正前の文章を公開しながら書いていこうと思います!
正直校正前の文章公開するのは恥ずかしいです。まるで下着姿のような、見せてはいけないものを見せている気分になりますが、きっと面白がってくださる方もいるでしょうからやってみようと思います。
大前提ですが、もちろんこれは私のやり方であって私のスタイルや癖が強く反映されています。当然私のやり方は全ての方に当てはまることではないでしょう。に私は校正すればするほど文章が長くなる傾向にあるのですが逆に短くなる方も多いのではないでしょうか。
サンプル
今回は最近書いた3月のゲームショートレビュー集記事から「プリコラージュ -IDOLIZED-」を紹介した文章を例として紹介します!
校正する前の文章を公開!
これが校正をする前、つまり最初に書いた文章です。
どうでしょう?
「読んでいて突っかかる部分がある」「目が滑るので読むのやめた」「意味が取りづらい」と思ったのではないでしょうか?
そう、最初は私の文章って結構読みづらいんです。これを校正して前述のような文章にしていきます。
なお、「誤字・脱字を修正する」というのは当然なのでここでは触れません。誤字・脱字を見つけるのに苦心されている方はこのサイトを使ってみるといいかもしれません。完璧ではないですがだいぶいい感じになります。
校正のポイント
内容の「重みづけ」をくっきりさせる
私が文章を校正する際一番気にしているのは「重みづけ」です。
ここでいう重みづけとは簡単に言うと「この文章の中でどこを強く伝えたいか」ということです。あるいは「読者にどこを印象深く読んでもらい、持ち帰ってもらうか」とも言えるでしょう。メリハリとも言えますね。
もちろん、文章を書くならその文の全てを味わってもらいたいですが、人間はそこまで多くのことを一度に持ち帰らない方が多いです。なので「特に大事なのはここ!」と決めるようにしています。ちなみにこの考え方は学生時代に塾講師のアルバイトをしていた時先輩の講師から「各授業で一つ、『これだけは学んで帰ってね!』ってところをはっきり呈示するといいよ」とアドバイスを受けたことに影響を受けたりしています。
私がレビューを書く際につけたい「重み」は「この作品を遊んだ時にどんな風に自分が楽しんだか、その印象を描き出し、読者にも『こんな感じに楽しいのかな』と思ってもらう」ことです。そこをより「重く」、他のところは「軽め」にしていくということを校正の際にします。おそらく私の文章から感じる読みやすさはこの「重さ」と「軽さ」の緩急でできる「流れ」から来ているのではと思っています。このあたりは小説の執筆で培ったストーリーラインをつける経験が生きているのかもしれません。
「プリコラージュ」の校正前レビューの話に置き換えると、一番書きたかったのは
のところです。なので校正前からセナの下着姿のシーンを例に引いたりし重みをつけています。「例示」というのはかなり重要な重みづけです。さらに校正後は
と、文章を追加してリアルタイムにハッとしたという経験を描いた文章という形式にしたり実際のプレイした時の感触にも近い「沸き上がってくることに気づかされます」という言い回しを取り入れました。余談ですが、「重み」をつける際に「私が●●する」という表現を「私が●●させられる」「私を●●させる」「私が●●してしまう」などと変えてより自分の肌感覚に合っている表現を探るというのも校正ではよくやります。
また、最後に
と、ほとんどGuilty pleasureの言い換えに近いこともしています。このように内容を繰り返したり、単語のチョイスやレトリックで飾った表現を使うことで伝えたい所に「重み」をつけたりします。逆に言うと「軽く」描きたいところはあまり飾らない表現を使うようにします。
それとは別に、Guilty Pleasureという言葉がそもそも一般的ではないので直すか(あとカタカナで書くか)悩んだのですが「ある言葉を与えたいぐらい強い感情」「特定の言葉が与えられているぐらい重要な感覚」ということもあったので(後ろ暗い喜び)と注釈をつけることにしました。ちなみに今回と話は違いますが、単語の選択に悩んだ時は類語辞典が便利です。
ちなみに本記事においても「重みづけ」は意識しています。この段落が一番重要な話ですのでエピソードを入れたりレトリックを足して、そもそもしっかりと文章量を取って伝えるようにしました。
細かい言葉選びの調整
具体的には以下のようなことに気を付けています。
一文、句読点までの間を長くしすぎない
難解な言葉は使わないのではなく使いすぎない
「思う」「です」「だよね」などの語尾は連続させない
指示語を熟考する
具体的にはここの部分でしょうか。
この文面を
に変更しました。
まず指示語を「また」から「そして」に変えました。「また」だとどうしても前段の方が重要というニュアンスが強くなります。このオープニングの話も一番ではなくても重要であるので「また」ではないだろうということです。その上で同じ話の繰り返しでもないので「かつ」とか「さらに」も違うし「ところで」と書くほど話も変わっていないので「そして」がいいだろうとしました。
その上で「そして、」と読点(、)を入れました。余談ですが私はいつまでたっても句点がどっちで読点がどっちか覚えないので今回も調べてから「、が読点だな」と思って書いています。
また、全体に読点を足して文面に区切りを打っています。もちろん句点を使って文を切ってもいいですが、このオープニングの話はいわゆる「ここすき」なので一文で言い切る方が自分の感覚に合っていると思いこのような形にしました。
意味を違って取られそうな箇所を修正する
わかりやすいのはレビューの最後の部分です。
これを
に変更しています。
「これ」を「この映像」に直すことで「どれだよ」と読むのが止まることを回避しています。もちろんこの文章の「これ」は「オープニング映像」であり意味が伝わらないことはないのですが「この映像」と書く方が突っかからないと感じて修正しています。基準としては、国語のテストの問題であった『「これ」とはどれを指しますか』に使えるぐらいの難易度が生まれそうなら少し補った方がいいと考えています。
また「キます」というのはかなり意味が割れそうに感じます。例えば、
精神的にダメ―ジがある
大いに驚く
作者のセンスを思い知る
性的に興奮する
あたりに取られうると考えました。その上でそもそもオープニング映像自体が非常に複合的な意味を持っているので、それなら感情の話じゃない方がいいかなと思い「違った意味を持つ」へ修正をしました。
書き忘れていたことを書き足す
わりと、「あ!これ書かないとダメじゃん!」みたいなことを忘れて書き足すことはあります。この文章ではこれです。
大事なのは校正をすることで文章が綺麗になるのとは別に「文章の内容を充実させることもできる」ということです。なので校正は大切にしています。
一日置いてもう一回やる
校正を何回するかですが、私はnoteの記事においては明確に決めています。
文章を書いた後に一回
一晩空けて翌日に一回
です。小説はもう一回から二回増やしていたと記憶しています。
どちらにしても必ず一晩空けるようにしています。私の場合は一日開けた方がより文章に対して違う距離、角度から捉えられていい校正ができます。「明日の自分」という別人に校正をやってもらう、と言えば伝わるでしょうか。
また、二回と決めているのは「校正はその気になればいくらでもやっていられる」からです。実際、この記事を書く際に上記のレビューを改めて読んで「こここうしたほうがよくない?」というのはいくつもあります。ただ、それをするといつまでも出せないので自分の中で線を引いています。
ちなみに今回は第一回校正後の文章も公開しますので参考になれば!実際に投稿した文章にかなり近いですが細かく変えていることがわかるかと思います。
おわりに
もう一つ、校正をしっかりやることには大きなメリットがあります。それは、
となれるところです。
文章を書いていると
となって手が止まってしまうことが多々あると思います。場合によってはそこで机から離れてそのまま文章が放置されてしまうこともあるでしょう。そういう際に
と振り切って前へ進めるのは大きいです。
また、実際の校正の際にはあの時の悩みは何だったんだ?となるぐらいすっと適切な表現が見つかって驚くこともよくあります。このように自分の創作の推進剤としても校正は大事なんだと感じています。また、創作において気にすることがどんどん増えている現代では安全弁としての意義もより大事になっているでしょう。
この文章を読んで皆様が少しでも自分の創作の参考にできることを願っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?