【短歌一首】 節気なきビルの工事の隙間にも花と葉匂ひて初夏を招きぬ
短歌はレジスタンス。
東京駅付近に来るたびに、高層ビル建築と都市再開発事業のための大規模な工事現場に出くわす。 いつ来ても、地面に杭を打ち込む重機のハンマーの打撃音、工事現場から出てくるダンプカーやトラックのエンジン音、鉄骨や鉄筋の触れ合う金属音、ショベルカーが地面を掘る掘削音などに満ち満ちている。そこにはなかなか季節の移ろいを感じることができない。
工事現場のそばの高層ビルも、どれもそこそこ新しいものばかり。一体、いくつの超高層ビルが建つと再開発は終了するのだろうか。
都心の1ブロック全体の再開発で、そこにはまた複合型の超高層ビルが建つのだろう。別のブロックでも同じような再開発工事が続いている。
季節感があまりない工事現場ではあるが、それでも少しの土と雨と光を得て、草木は息づき、花は開く。
工事現場を出入りするトラックやダンプカーや建設重機運搬車などの排気ガスを受けながらも、草木も花もタフにしたたかに育つ。
新緑が深まり、赤、ピンク、白の花が咲き、東京駅付近の巨大再開発工事現場にも、確実に初夏が訪れ始めている。
東京駅付近の大規模再開発工事は延々と続く。
コンクリートジャングルの狭間にあっても、植物たちは決して季節を忘れない。
猫間英介
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