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困っている人が目の前にいたら、あなたはどうしますか?

10年前の朝のことだ。
当時小学生の娘を学校に車で送り届けた後の出来事だった。
学校近くの道路で娘を車から下ろし、発進しようとすると、反対車線が渋滞していることに気づいた。

こんなとこで渋滞?おかしいな…

と振り返って見ると、その渋滞の先にはおばあさんが歩いていた。
車道の真ん中をおばあさんが白杖をついて歩いているのだ。

さて、どうしよう。

私は悩んだ。
一緒に車に乗っていた保育園児の息子は

「ママあのおばあさんどうしたの?困ったね。」

と私に問いかけた。
その息子の言葉に私の体は反応しなかった。

様子をうかがっていると、1人の小学生女児がおばあさんの異変に気づいた。
彼女はおばあさんを必死で歩道に誘導しようと、1人でおばあさんの腕周辺の服を引っ張っている。
だが、おばあさんは前に前にずんずん進んでしまい、彼女は切なそうにあきらめた。

私のスイッチはようやくここで入り、
車から下りておばあさんのところへダッシュした。

私は介護福祉士であり、盲者の方の誘導経験もあった。

・小学生女児にあとは任せて学校へ行けと言う。
・おばあさんの肩をたたく。
・私はこーいうものです。安心させる。
・状況説明を簡単に。
・今からあなたを歩道に誘導しますと説明。
・両肩をつかんで歩道へ誘導。
・おばあさんがどこへ行くのか確認。
・私がそこまで案内していいか確認。
・目的地へ誘導。
・目的地の人おばあさんを知っていたので事情説明し、引き継ぐ。
・退散。
・帰宅してから女児の小学校に電話。小学生女児を褒めるように依頼。

これが当時の私のしたことである。
今思い出して振り返ると、包括支援センターに連絡しとくべきだったのか、と反省もある。

そしてなによりも大きな問題がある。

私は介護福祉士であり、盲者の方の誘導経験もあった。
それなのに私はためらい、すぐに行動しなかった事実!!!!!!!

小学生女児が行動していなかったら、私はどうしていたのだろう。
誰かがしてくれるのを待っていたのか?
動けない自分に後悔していたのだろうか。

おばあさんを誘導し車に戻ると息子が
「ママいいことしたね〜」
と笑って喜んでいた。
…でもママは恥ずかしかった。


娘が帰宅すると、女児が褒められていたことを教えてくれた。
その日の手紙にも彼女の行動を称えた大きな記事があり、私は胸を撫で降ろした。

誰が正しいとか何が正しいとか
こういう出来事が目の前で起こった時、とっさに自分はどう行動できるかなどわからない。
今でもわからない。

小学生女児のとっさの行動と勇気を
今でもこうしてふと振り返り、考える。

しかし、わからないながらも何か行動できる勇気をもった人になろう、と心に誓った出来事だった。


#行動 #勇気 #福祉 #介護 #盲者 #障害者 #ノーマライゼーション

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